破産者とは?できないことや復権までの期間を解説

破産者とは、破産申立てをして破産手続開始決定を受けた人のことを指します。破産者になると、資格制限を受けたり職業制限を受けたりするため、制限のある職業に就いている人は自己破産をするかどうか慎重に判断しなければいけません。
この記事では、破産者とはどのような人を指すのか、破産者になるとどういった制限があるのかについて詳しく解説します。
これから自己破産を検討している人は、本記事で解説している内容をぜひ参考にしてください。
破産者とは破産を申し立てて破産手続開始決定を受けた人
「破産者」とは、破産手続開始決定を受けた人を指します。破産手続開始決定とは、自己破産の申立てを行い、裁判所が自己破産の手続きを開始する決定を下した時点を指します。
自己破産の流れは以下の通りです。
- 弁護士等の専門家に依頼
- 債権者へ受任通知を送付
- 自己破産へ向けた準備
- 裁判所へ破産手続開始の申立て
- 書類に不備がなければ「破産手続開始決定」
その後の流れは、適用される破産手続の種類によって変わります。専門家への相談から破産手続開始決定を受けて破産者になるまで、およそ2か月〜3か月の時間がかかります。
破産者になるとさまざまな制限を受けますが、破産者となるのは「破産手続開始決定後」です。そのため、弁護士への相談をした時点や裁判所へ申立てを行った時点では破産者ではありません
そして、破産者になると債権者にその事実を広く知らせるために、官報へ情報が掲載されます。また、破産者になると資格制限を受けます。破産者になって就くことができない職業があるため、市区町村役場で破産者名簿を作成し、名前等が掲載されて管理されます。ただし、後述のとおり、現在破産者名簿に掲載されるような事例はほとんど見かけません。
破産者になると官報公告に掲載される
自己破産をすると「破産手続開始決定時点」と「免責許可決定時点」の合計2回、官報に事件番号や破産者の住所、氏名等の個人情報が掲載されます。
官報とは?
官報は国の機関誌であり、国の法令や公示事項を国民に広く知らせるためにあります。官報には国からの公示事項のほか、破産者手続開始決定の情報や民事再生法に基づく再生手続開始決定(個人再生)の情報も掲載されています。
官報は誰でも購入・閲覧が可能であり、電子版であれば直近90日分まで無料で閲覧できます。そのため、家族や友人、会社の同僚等に破産手続開始決定を受けた事実が知られてしまう可能性があります。
とはいえ、官報を普段から閲覧している人は少なく、日々、さまざまな情報が掲載されている中から、特定の個人を見つけ出すのは困難です。そのため、家族や友人、会社の同僚等の知り合いに自己破産を知られてしまう可能性を気にする必要はないでしょう。
では、なぜ官報へ破産手続開始決定等の情報を掲載する必要があるのか、それは「すべての債権者に公平な機会を提供するため」です。
破産手続開始決定されると、債権者一覧表(債権者名簿)に記載のある債権者に対しては、「破産手続開始決定通知書」というものが裁判所から送付されます。
しかし、破産者となる人が一部の債権者を失念しており、債権者一覧表に記載漏れが発生する可能性も考えられるでしょう。この場合、債権者一覧表に記載されていない債権者は、官報経由で債務者の破産手続開始決定を知ることになります。
破産手続きの申立てをすると合計2回官報へ個人情報等が掲載されてしまいます。掲載する目的は破産者に対する戒め(罰)ではありません。あくまでも利害関係者や債権者に広くその事実を知らせることが目的です。
ちなみに、破産手続開始決定時点で官報へ記載される情報は、以下のとおりです。
- 事件番号
- 破産者の住所
- 破産者の氏名
- 破産開始決定の日時
- 決定の主文
- 決定理由の要旨(同時廃止の場合)
- 破産管財人の氏名(管財事件の場合)
- 破産債権の届出期間(管財事件の場合)
- 各種集会の期日(管財事件の場合)
- 免責意見申述期間(個人の場合)
- 管轄裁判所
先ほども述べたとおり、官報を細かく確認する人は多くないため、氏名や住所が掲載されることで大きな影響を受ける可能性は低いです。そのため、氏名や住所を掲載されてしまうものの、過度に不安を感じる必要はないでしょう。
市区町村の破産者名簿や身分証明書に掲載される可能性あり
破産者となった場合、市区町村で管理される「破産者名簿」に氏名等が記載されます。破産者名簿に記載する理由は、破産者には資格制限があるためです。
資格制限とは、破産者となった人が一定の資格の制限を受けたり、職業制限を受けたりすることです。たとえば、弁護士や司法書士といったいわゆる「士業」の資格制限を受けるため、当該職務に就くことができません。
資格制限の対象となる職業に就こうとした場合、市区町村役場にて破産者ではない証明書(市区町村が発行する身分証明書)を発行する必要があります。当然、破産者は破産者名簿に名前が載っているため、身分証明書は発行されません。
上記のように資格制限を行うために、市区町村で破産者を管理する必要があります。
ほとんどの破産者は破産者名簿に掲載されない
破産法の改正に伴い、2004年以降は「免責不許可決定を受けた場合のみ」破産者名簿に掲載される運用になりました。以前は、破産手続開始決定を受けて破産者となった時点で名簿に掲載されていましたが、現在は、運用方法が変わっています。
また、破産手続開始決定を受けた人のうち、免責不許可決定を受けた人の割合は2000年〜2020年の間で1%未満です。多くの年で0件もあり、ほとんどのケースで免責許可決定が下されているとわかります。
参考:2020年破産事件及び個人再生事件記録調査【報告編】|日本弁護士連合会
上記のことから、実際に破産者名簿に名前等が掲載されるケースはほとんどありません。
免責不許可事由に該当した場合、原則免責不許可となります。しかし、裁判官の裁量で免責許可決定が出せる「裁量免責」があります。実務上は、免責不許可事由であっても裁量免責による免責が認められるケースも多くあるため、免責不許可の割合は低いものになっています。
破産手続開始決定後に免責不許可を受けた場合は掲載される
破産手続開始決定を受け、最終的に免責不許可の決定がなされた場合は、市区町村の破産者名簿に情報が掲載されてしまいます。
ただ、先ほども解説したとおり免責不許可決定がなされるケースは稀です。また、仮に免責不許可決定を受け、破産者名簿に掲載されてしまったとしても、家族や知人等に知られるわけではありません。
あくまでも、市区町村が発行する身分証明書の発行可否を判断するためだけに使用される情報であるため、その点は不安を感じる必要はないでしょう。
破産者ができないことと制限が解除されるまでの流れ
破産者になるとさまざまな制限を受けます。中でも注意すべき制限は、資格制限です。資格制限とは、破産者になることで一定の資格の効力が制限される状態を指します。
次に、破産者になると制限される資格や復権、その他制限について詳しく解説します。
破産者になると制限される資格や職業があるが復権後に解除
破産者になると制限される資格があります。これを「資格制限」と言います。資格制限は、破産法で定められているわけではなく、各資格の法律です。たとえば、弁護士であれば弁護士法によって破産者の扱いについて定められています。
破産によって資格制限を受ける主な資格・職業等は以下のとおりです。
【士業】
- 弁護士(弁護士法)
- 司法書士(司法書士法)
- 行政書士(行政書士法)
- 弁理士(弁理士法)
- 公認会計士(公認会計士法)
- 税理士(税理士法)
- 社会保険労務士(社会保険労務士法)
- 土地家屋調査士(土地家屋調査士法)
- 通関士(通関士法)
【その他資格・職業】
- 生命保険募集人(保険業法)
- 証券外務員(金融商品取引法)
- 固定資産評価員(地方税法)
- 公証人(公証人法)
- 人事官(国家公務員)
- 警備員・警備業(警備業法)
- 探偵業(探偵業の業務の適正化に関する法律)
- 職業紹介責任者(職業安定法)
等々
現在、資格制限の対象となる職業に就かれている人は、破産者になることで現在の業務に従事できなくなるため注意が必要です。しかし、免責許可が確定次第、破産者ではなくなるため、復権した後に再登録できる可能性は残っています。
復権とは破産者でなくなること
免責許可決定が下されるとあなたは破産者ではなくなります。破産者ではなくなると、これまで制限されていた資格や職業に従事できるようになります。これが「復権(ふっけん)」です。
復権は、破産法上、当然に復権する場合と裁判所の決定によって復権する場合があります。
復権については、前者を破産法255条1項、後者を破産法第256条1項で以下のとおり定められています。
第二百五十六条 破産者が弁済その他の方法により破産債権者に対する債務の全部についてその責任を免れたときは、破産裁判所は、破産者の申立てにより、復権の決定をしなければならない。
引用元:破産法|第256条
当然に復権する場合と裁判所の決定により復権する場合について、それぞれ詳しく解説します。
当然に復権する場合
とくに申立て等を行わなくても、一定の事由に該当する場合は、当然に復権します。破産法上の該当事由は以下のとおりです。
- 免責許可が確定したとき
- 破産債権者の同意等を理由に破産手続廃止決定がなされたとき
- 再生計画認可が確定したとき
- 破産手続開始決定から詐欺破産罪で有罪判決が確定せず、10年間経過したとき
復権理由に該当するものとして一番多いものは、免責許可が確定したときになります。免責許可が確定するととくに手続きを行わなくても、当然に復権します。なぜなら、免責許可決定と同時に破産者ではなくなるためです。
その他の復権事由に該当するケースはあまり多くないものの、個人再生によって再生計画認可の決定を受けたときや、「破産手続開始決定から、詐欺破産罪で有罪判決が確定せず、10年間経過したとき」も復権します。なお、このケースの起算日は「破産手続開始決定から10年」という点も合わせて覚えておきましょう。
裁判所の決定により復権する場合
破産法上の復権事由に該当しない場合でも、裁判所の決定によって復権する場合もあります。たとえば、免責不許可決定を受けた場合であっても、自力で借金を返済した場合です。この場合、借金を完済しているため、破産者ではなくなります。
しかし、借金を完済した事実を証明し、復権の申立てをしなければいけません。
破産法では「破産者が債務を弁済してその責任を免れたときは、申立てにより復権の決定をしなければいけない」と定めています。つまり、ただ完済するだけではなく、裁判所に申立てをしたうえで、決定を受けて復権する流れです。
復権までの平均期間は3〜6ヶ月
通常、復権するまでの平均期間は3ヶ月〜6ヶ月程度です。これは、破産手続開始決定〜免責許可決定までの平均期間であるためです。
破産手続きは、大きく分けて「管財事件」と「同時廃止」の2種類があります。個人の自己破産のケースであれば、いずれの場合も、順調に進んだ場合は破産手続開始決定から3ヶ月程度で免責許可が確定し、復権します。
ただ、管財事件で財産が多い場合や債権者の数が多い場合等、特別な事情がある場合は6ヶ月以上かかる場合もあるため注意してください。
参考:裁判所
信用情報(ブラックリスト)とは別なのでクレカ作成や借金は×
復権したとしても、個人信用情報に登録されている情報が変わるわけではありません。そもそも復権とは、「資格や職業の制限が解除されて復活すること」を指します。そのため、資格制限や職業制限を受ける職に就いていない人には関係ありません。
個人信用情報は個人の金融取引履歴を登録されているものに過ぎないため、法的な効力はありません。
破産手続によって免責許可決定がなされると、債権者から個人信用情報機関に対して自己破産をした旨の登録を行うのが一般的です。登録情報はJICCおよびCICでは5年、全銀協では7年の登録期間です。
なお、CICでは官報登録情報の登録は行っていません。しかし、破産手続きを開始する人の大半の人が滞納をしているため、滞納情報が事故情報として登録されています。この保有期間は5年です。
破産者となっても免責されない非免責債権があるので注意

破産者となり、免責許可が確定すると大半の借金の返済義務を免れます(これを免責と言います)。しかし、非免責債権と呼ばれる債権については、免責許可が確定しても残り、支払い義務が生じます。
主な非免責債権は以下のとおりです。
- 租税等の請求権
- 損害賠償請求権(悪意で加えた損害や故意や重過失によって身体生命を害したことによるもの)
- 扶養義務者として負担すべき費用に関する請求権
- 雇用関係に基づいて生じた請求権及び返還請求権
- 債権者名簿に記載しなかった請求権
- 罰金等
次に、非免責債権について詳しく解説します。
租税等の請求権
租税等の請求権とは、各種税金や保険料のことです。たとえば、住民税や所得税、消費税等の各種税金、国民年金や健康保険料等の各種保険料です。これらは、免責許可決定を受けても免責されない非免責債権に該当します。
租税や保険料はすべて国民の義務であり、すべての国民が平等に支払わなければいけません。租税等はすべての国民が負担をしているお金であり、破産者といえども特別扱いされることはありません。
破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権とは、いわゆる損害賠償金であることに変わりはありません。しかし、ポイントとなるのは「悪意で加えた不法行為に基づく」という点です。
たとえば、他人を害する目的をもって、人の財産を積極的に毀損した場合などの賠償金は、「悪意で与えた不法行為」に該当し、免責にならない可能性が高いです。
一方で、たとえば犯罪などを理由としない通常の損害賠償請求権(身体、生命に関するものを除きます。)については、自己破産によって免責となる可能性が高いです。
破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は、身体を害する不法行為に基づく賠償請求権も非免責債権に該当します。
重大な過失とは、わずかな注意を払っていれば容易に防げたにも関わらず、事故を起こしてしまったようなケースです。何が重大な過失にあたるかは個々の事例によるものの、たとえば、「見通しのいい道路で、歩行者の存在に気付くのが容易であったにもかかわらず、スマートフォンを操作しながら自動車を運転して事故を起こした」というような場合は、重大な過失に当たると判断される可能性があります。
上記理由により、結果的に人の生命又は身体を害する不法行為が発生した場合は、非免責債権となるため注意しましょう。
破産者が扶養義務者として負担すべき費用に関する請求権
破産者が扶養義務者として負担すべき費用に関する請求権とは、たとえば子どもの養育費が該当します。実子の養育費は、当然親が負担すべき費用です。
離婚をした場合や破産手続きにより免責許可決定が確定した場合であっても、その費用負担を免れることはありません。
雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権
雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権は、個人事業主の破産手続きで問題となる項目です。
まず、「使用人」とはいわゆる従業員のことを指します。雇用契約を締結し、雇用主の指示に従い業務に従事している者です。
つまり、労働者が事業主に対して持っている給与債権は、非免責債権に該当します。よって、免責許可決定を受けても支払い義務は免れません。
法人破産の場合は非免責債権という概念がそもそもありません。給与債権についても、他の債権に優先して受け取ることはできるものの、あくまでも法人が有する財産の範囲内でのみ支払われます。
破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権
破産者が債権を把握していながら債権者一覧表(債権者名簿)に記載しなかった場合、その債権は免責されません。たとえば、破産者となるあなたが友人Aからの借入金があることを把握していながら、債権者一覧表に記載しなかった場合、Aに対する債権は免責されません。
また、「破産者が知りながら」と書かれているものの、実際は過失によって知らなかった場合であっても、事情によっては、非免責債権になり得ます。
そのため、債権者名簿に記載をする際は、漏れがないように注意する必要があります。
罰金等の請求権
罰金や交通違反金等は「罰則」という意味であるため、免責の効力は及びません。よって、免責許可決定を受けても支払い義務を免れることはありません。
破産者についてよくある質問
破産者についてよくある質問を紹介します。
破産者は生活保護を受けられないって本当でしょうか?
A.破産者であっても生活保護の受給は可能です。
まず、自己破産と生活保護はまったく別のものとして考える必要があります。自己破産は、破産法という法律に基づいて手続きを行い、最終的には裁判官が免責許可決定を下します。
一方で、生活保護を管轄するのは市区町村役場であり、生活保護の決定を下すのは市町村長です。
また、破産者になるとさまざまな資格制限や民事上の制限等を受けますが、その中に生活保護の制限に関する規定はありません。よって、破産者であっても生活保護の受給は可能です。
なお、生活保護受給者は生活保護費での借金返済は基本的に認められていません。よって、借金がある人で生活保護の受給を検討されている人は、自己破産によって債務を整理する必要があります。
破産者が亡くなってしまった場合はどうなりますか?
A.亡くなってしまったタイミングによって扱いが異なります。
破産手続申立て前に死亡した場合は、相続手続きの中で債務を処理することになります。相続では、負の財産(借金等)も対象となるため、相続人が借金の返済義務を負います。なお、破産手続き申立後、開始決定前であれば、債権者などが続行の申立てをすることにより、相続財産について破産手続きが継続する場合があります。
相続人は相続財産の放棄もしくは限定承認によって返済義務を免れる方法があります。
破産手続開始決定後であれば、相続財産に対して破産手続きが継続します。つまり、破産手続きは継続し、債権者に対して財産が分配されることになりますが、免責手続きは予定されていないため、債務が残ってしまう場合には、上記と同様に、相続人において債務が引継がれることになるため、相続人は相続放棄などを検討することになります。
破産者マップというサイトに氏名や住所が掲載されました。お金を払って削除した方がいい?
A.破産者マップは名誉毀損、プライバシー侵害に該当する可能性が高く、個人情報保護法の観点から見ても問題のあるサイトです。また、お金を支払ったとことで削除される保証はないため支払いに応じることがないよう注意が必要です。
インターネットでは、官報掲載の破産者情報をグーグルマップで紐づけている破産者マップを公開している場合があるようです。情報の削除に関しては、サイト開設者の案内によると、地図上に置いてあるピンの情報を削除するだけで6万円、すべての情報を削除するためには12万円相当のビットコインを支払わなければいけないと記載があります。しかし、このお金を支払ったところで削除される保証はなく、また、仮に高額なビットコインを支払い、一時的に削除された場合であっても、再度官報情報を掲載される可能性もあります。一度お金を支払ってしまうことにより、何度も費用を請求されてしまう可能性もあり、イタチごっこ状態となり得るため、このような金銭の支払いには応じることのないよう注意してください。
現状、破産者マップの運営者は不明であり、公的機関などから削除依頼を出すことは難しいものがあります。しかし、安易にビットコインの支払いに応じれば、今後同種の請求を受ける懸念などがあり、かえってトラブルに巻き込まれかねません。繰り返しになりますが、こういったサイトに金銭を支払うことのないよう十分に注意が必要です。
破産者とは?できないことや復権までの期間を解説

破産者とは、破産申立てをして破産手続開始決定を受けた人のことを指します。破産者になると、資格制限を受けたり職業制限を受けたりするため、制限のある職業に就いている人は自己破産をするかどうか慎重に判断しなければいけません。
この記事では、破産者とはどのような人を指すのか、破産者になるとどういった制限があるのかについて詳しく解説します。
これから自己破産を検討している人は、本記事で解説している内容をぜひ参考にしてください。
破産者とは破産を申し立てて破産手続開始決定を受けた人
「破産者」とは、破産手続開始決定を受けた人を指します。破産手続開始決定とは、自己破産の申立てを行い、裁判所が自己破産の手続きを開始する決定を下した時点を指します。
自己破産の流れは以下の通りです。
- 弁護士等の専門家に依頼
- 債権者へ受任通知を送付
- 自己破産へ向けた準備
- 裁判所へ破産手続開始の申立て
- 書類に不備がなければ「破産手続開始決定」
その後の流れは、適用される破産手続の種類によって変わります。専門家への相談から破産手続開始決定を受けて破産者になるまで、およそ2か月〜3か月の時間がかかります。
破産者になるとさまざまな制限を受けますが、破産者となるのは「破産手続開始決定後」です。そのため、弁護士への相談をした時点や裁判所へ申立てを行った時点では破産者ではありません
そして、破産者になると債権者にその事実を広く知らせるために、官報へ情報が掲載されます。また、破産者になると資格制限を受けます。破産者になって就くことができない職業があるため、市区町村役場で破産者名簿を作成し、名前等が掲載されて管理されます。ただし、後述のとおり、現在破産者名簿に掲載されるような事例はほとんど見かけません。
破産者になると官報公告に掲載される
自己破産をすると「破産手続開始決定時点」と「免責許可決定時点」の合計2回、官報に事件番号や破産者の住所、氏名等の個人情報が掲載されます。
官報とは?
官報は国の機関誌であり、国の法令や公示事項を国民に広く知らせるためにあります。官報には国からの公示事項のほか、破産者手続開始決定の情報や民事再生法に基づく再生手続開始決定(個人再生)の情報も掲載されています。
官報は誰でも購入・閲覧が可能であり、電子版であれば直近90日分まで無料で閲覧できます。そのため、家族や友人、会社の同僚等に破産手続開始決定を受けた事実が知られてしまう可能性があります。
とはいえ、官報を普段から閲覧している人は少なく、日々、さまざまな情報が掲載されている中から、特定の個人を見つけ出すのは困難です。そのため、家族や友人、会社の同僚等の知り合いに自己破産を知られてしまう可能性を気にする必要はないでしょう。
では、なぜ官報へ破産手続開始決定等の情報を掲載する必要があるのか、それは「すべての債権者に公平な機会を提供するため」です。
破産手続開始決定されると、債権者一覧表(債権者名簿)に記載のある債権者に対しては、「破産手続開始決定通知書」というものが裁判所から送付されます。
しかし、破産者となる人が一部の債権者を失念しており、債権者一覧表に記載漏れが発生する可能性も考えられるでしょう。この場合、債権者一覧表に記載されていない債権者は、官報経由で債務者の破産手続開始決定を知ることになります。
破産手続きの申立てをすると合計2回官報へ個人情報等が掲載されてしまいます。掲載する目的は破産者に対する戒め(罰)ではありません。あくまでも利害関係者や債権者に広くその事実を知らせることが目的です。
ちなみに、破産手続開始決定時点で官報へ記載される情報は、以下のとおりです。
- 事件番号
- 破産者の住所
- 破産者の氏名
- 破産開始決定の日時
- 決定の主文
- 決定理由の要旨(同時廃止の場合)
- 破産管財人の氏名(管財事件の場合)
- 破産債権の届出期間(管財事件の場合)
- 各種集会の期日(管財事件の場合)
- 免責意見申述期間(個人の場合)
- 管轄裁判所
先ほども述べたとおり、官報を細かく確認する人は多くないため、氏名や住所が掲載されることで大きな影響を受ける可能性は低いです。そのため、氏名や住所を掲載されてしまうものの、過度に不安を感じる必要はないでしょう。
市区町村の破産者名簿や身分証明書に掲載される可能性あり
破産者となった場合、市区町村で管理される「破産者名簿」に氏名等が記載されます。破産者名簿に記載する理由は、破産者には資格制限があるためです。
資格制限とは、破産者となった人が一定の資格の制限を受けたり、職業制限を受けたりすることです。たとえば、弁護士や司法書士といったいわゆる「士業」の資格制限を受けるため、当該職務に就くことができません。
資格制限の対象となる職業に就こうとした場合、市区町村役場にて破産者ではない証明書(市区町村が発行する身分証明書)を発行する必要があります。当然、破産者は破産者名簿に名前が載っているため、身分証明書は発行されません。
上記のように資格制限を行うために、市区町村で破産者を管理する必要があります。
ほとんどの破産者は破産者名簿に掲載されない
破産法の改正に伴い、2004年以降は「免責不許可決定を受けた場合のみ」破産者名簿に掲載される運用になりました。以前は、破産手続開始決定を受けて破産者となった時点で名簿に掲載されていましたが、現在は、運用方法が変わっています。
また、破産手続開始決定を受けた人のうち、免責不許可決定を受けた人の割合は2000年〜2020年の間で1%未満です。多くの年で0件もあり、ほとんどのケースで免責許可決定が下されているとわかります。
参考:2020年破産事件及び個人再生事件記録調査【報告編】|日本弁護士連合会
上記のことから、実際に破産者名簿に名前等が掲載されるケースはほとんどありません。
免責不許可事由に該当した場合、原則免責不許可となります。しかし、裁判官の裁量で免責許可決定が出せる「裁量免責」があります。実務上は、免責不許可事由であっても裁量免責による免責が認められるケースも多くあるため、免責不許可の割合は低いものになっています。
破産手続開始決定後に免責不許可を受けた場合は掲載される
破産手続開始決定を受け、最終的に免責不許可の決定がなされた場合は、市区町村の破産者名簿に情報が掲載されてしまいます。
ただ、先ほども解説したとおり免責不許可決定がなされるケースは稀です。また、仮に免責不許可決定を受け、破産者名簿に掲載されてしまったとしても、家族や知人等に知られるわけではありません。
あくまでも、市区町村が発行する身分証明書の発行可否を判断するためだけに使用される情報であるため、その点は不安を感じる必要はないでしょう。
破産者ができないことと制限が解除されるまでの流れ
破産者になるとさまざまな制限を受けます。中でも注意すべき制限は、資格制限です。資格制限とは、破産者になることで一定の資格の効力が制限される状態を指します。
次に、破産者になると制限される資格や復権、その他制限について詳しく解説します。
破産者になると制限される資格や職業があるが復権後に解除
破産者になると制限される資格があります。これを「資格制限」と言います。資格制限は、破産法で定められているわけではなく、各資格の法律です。たとえば、弁護士であれば弁護士法によって破産者の扱いについて定められています。
破産によって資格制限を受ける主な資格・職業等は以下のとおりです。
【士業】
- 弁護士(弁護士法)
- 司法書士(司法書士法)
- 行政書士(行政書士法)
- 弁理士(弁理士法)
- 公認会計士(公認会計士法)
- 税理士(税理士法)
- 社会保険労務士(社会保険労務士法)
- 土地家屋調査士(土地家屋調査士法)
- 通関士(通関士法)
【その他資格・職業】
- 生命保険募集人(保険業法)
- 証券外務員(金融商品取引法)
- 固定資産評価員(地方税法)
- 公証人(公証人法)
- 人事官(国家公務員)
- 警備員・警備業(警備業法)
- 探偵業(探偵業の業務の適正化に関する法律)
- 職業紹介責任者(職業安定法)
等々
現在、資格制限の対象となる職業に就かれている人は、破産者になることで現在の業務に従事できなくなるため注意が必要です。しかし、免責許可が確定次第、破産者ではなくなるため、復権した後に再登録できる可能性は残っています。
復権とは破産者でなくなること
免責許可決定が下されるとあなたは破産者ではなくなります。破産者ではなくなると、これまで制限されていた資格や職業に従事できるようになります。これが「復権(ふっけん)」です。
復権は、破産法上、当然に復権する場合と裁判所の決定によって復権する場合があります。
復権については、前者を破産法255条1項、後者を破産法第256条1項で以下のとおり定められています。
第二百五十六条 破産者が弁済その他の方法により破産債権者に対する債務の全部についてその責任を免れたときは、破産裁判所は、破産者の申立てにより、復権の決定をしなければならない。
引用元:破産法|第256条
当然に復権する場合と裁判所の決定により復権する場合について、それぞれ詳しく解説します。
当然に復権する場合
とくに申立て等を行わなくても、一定の事由に該当する場合は、当然に復権します。破産法上の該当事由は以下のとおりです。
- 免責許可が確定したとき
- 破産債権者の同意等を理由に破産手続廃止決定がなされたとき
- 再生計画認可が確定したとき
- 破産手続開始決定から詐欺破産罪で有罪判決が確定せず、10年間経過したとき
復権理由に該当するものとして一番多いものは、免責許可が確定したときになります。免責許可が確定するととくに手続きを行わなくても、当然に復権します。なぜなら、免責許可決定と同時に破産者ではなくなるためです。
その他の復権事由に該当するケースはあまり多くないものの、個人再生によって再生計画認可の決定を受けたときや、「破産手続開始決定から、詐欺破産罪で有罪判決が確定せず、10年間経過したとき」も復権します。なお、このケースの起算日は「破産手続開始決定から10年」という点も合わせて覚えておきましょう。
裁判所の決定により復権する場合
破産法上の復権事由に該当しない場合でも、裁判所の決定によって復権する場合もあります。たとえば、免責不許可決定を受けた場合であっても、自力で借金を返済した場合です。この場合、借金を完済しているため、破産者ではなくなります。
しかし、借金を完済した事実を証明し、復権の申立てをしなければいけません。
破産法では「破産者が債務を弁済してその責任を免れたときは、申立てにより復権の決定をしなければいけない」と定めています。つまり、ただ完済するだけではなく、裁判所に申立てをしたうえで、決定を受けて復権する流れです。
復権までの平均期間は3〜6ヶ月
通常、復権するまでの平均期間は3ヶ月〜6ヶ月程度です。これは、破産手続開始決定〜免責許可決定までの平均期間であるためです。
破産手続きは、大きく分けて「管財事件」と「同時廃止」の2種類があります。個人の自己破産のケースであれば、いずれの場合も、順調に進んだ場合は破産手続開始決定から3ヶ月程度で免責許可が確定し、復権します。
ただ、管財事件で財産が多い場合や債権者の数が多い場合等、特別な事情がある場合は6ヶ月以上かかる場合もあるため注意してください。
参考:裁判所
信用情報(ブラックリスト)とは別なのでクレカ作成や借金は×
復権したとしても、個人信用情報に登録されている情報が変わるわけではありません。そもそも復権とは、「資格や職業の制限が解除されて復活すること」を指します。そのため、資格制限や職業制限を受ける職に就いていない人には関係ありません。
個人信用情報は個人の金融取引履歴を登録されているものに過ぎないため、法的な効力はありません。
破産手続によって免責許可決定がなされると、債権者から個人信用情報機関に対して自己破産をした旨の登録を行うのが一般的です。登録情報はJICCおよびCICでは5年、全銀協では7年の登録期間です。
なお、CICでは官報登録情報の登録は行っていません。しかし、破産手続きを開始する人の大半の人が滞納をしているため、滞納情報が事故情報として登録されています。この保有期間は5年です。
破産者となっても免責されない非免責債権があるので注意

破産者となり、免責許可が確定すると大半の借金の返済義務を免れます(これを免責と言います)。しかし、非免責債権と呼ばれる債権については、免責許可が確定しても残り、支払い義務が生じます。
主な非免責債権は以下のとおりです。
- 租税等の請求権
- 損害賠償請求権(悪意で加えた損害や故意や重過失によって身体生命を害したことによるもの)
- 扶養義務者として負担すべき費用に関する請求権
- 雇用関係に基づいて生じた請求権及び返還請求権
- 債権者名簿に記載しなかった請求権
- 罰金等
次に、非免責債権について詳しく解説します。
租税等の請求権
租税等の請求権とは、各種税金や保険料のことです。たとえば、住民税や所得税、消費税等の各種税金、国民年金や健康保険料等の各種保険料です。これらは、免責許可決定を受けても免責されない非免責債権に該当します。
租税や保険料はすべて国民の義務であり、すべての国民が平等に支払わなければいけません。租税等はすべての国民が負担をしているお金であり、破産者といえども特別扱いされることはありません。
破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権とは、いわゆる損害賠償金であることに変わりはありません。しかし、ポイントとなるのは「悪意で加えた不法行為に基づく」という点です。
たとえば、他人を害する目的をもって、人の財産を積極的に毀損した場合などの賠償金は、「悪意で与えた不法行為」に該当し、免責にならない可能性が高いです。
一方で、たとえば犯罪などを理由としない通常の損害賠償請求権(身体、生命に関するものを除きます。)については、自己破産によって免責となる可能性が高いです。
破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は、身体を害する不法行為に基づく賠償請求権も非免責債権に該当します。
重大な過失とは、わずかな注意を払っていれば容易に防げたにも関わらず、事故を起こしてしまったようなケースです。何が重大な過失にあたるかは個々の事例によるものの、たとえば、「見通しのいい道路で、歩行者の存在に気付くのが容易であったにもかかわらず、スマートフォンを操作しながら自動車を運転して事故を起こした」というような場合は、重大な過失に当たると判断される可能性があります。
上記理由により、結果的に人の生命又は身体を害する不法行為が発生した場合は、非免責債権となるため注意しましょう。
破産者が扶養義務者として負担すべき費用に関する請求権
破産者が扶養義務者として負担すべき費用に関する請求権とは、たとえば子どもの養育費が該当します。実子の養育費は、当然親が負担すべき費用です。
離婚をした場合や破産手続きにより免責許可決定が確定した場合であっても、その費用負担を免れることはありません。
雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権
雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権は、個人事業主の破産手続きで問題となる項目です。
まず、「使用人」とはいわゆる従業員のことを指します。雇用契約を締結し、雇用主の指示に従い業務に従事している者です。
つまり、労働者が事業主に対して持っている給与債権は、非免責債権に該当します。よって、免責許可決定を受けても支払い義務は免れません。
法人破産の場合は非免責債権という概念がそもそもありません。給与債権についても、他の債権に優先して受け取ることはできるものの、あくまでも法人が有する財産の範囲内でのみ支払われます。
破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権
破産者が債権を把握していながら債権者一覧表(債権者名簿)に記載しなかった場合、その債権は免責されません。たとえば、破産者となるあなたが友人Aからの借入金があることを把握していながら、債権者一覧表に記載しなかった場合、Aに対する債権は免責されません。
また、「破産者が知りながら」と書かれているものの、実際は過失によって知らなかった場合であっても、事情によっては、非免責債権になり得ます。
そのため、債権者名簿に記載をする際は、漏れがないように注意する必要があります。
罰金等の請求権
罰金や交通違反金等は「罰則」という意味であるため、免責の効力は及びません。よって、免責許可決定を受けても支払い義務を免れることはありません。
破産者についてよくある質問
破産者についてよくある質問を紹介します。
破産者は生活保護を受けられないって本当でしょうか?
A.破産者であっても生活保護の受給は可能です。
まず、自己破産と生活保護はまったく別のものとして考える必要があります。自己破産は、破産法という法律に基づいて手続きを行い、最終的には裁判官が免責許可決定を下します。
一方で、生活保護を管轄するのは市区町村役場であり、生活保護の決定を下すのは市町村長です。
また、破産者になるとさまざまな資格制限や民事上の制限等を受けますが、その中に生活保護の制限に関する規定はありません。よって、破産者であっても生活保護の受給は可能です。
なお、生活保護受給者は生活保護費での借金返済は基本的に認められていません。よって、借金がある人で生活保護の受給を検討されている人は、自己破産によって債務を整理する必要があります。
破産者が亡くなってしまった場合はどうなりますか?
A.亡くなってしまったタイミングによって扱いが異なります。
破産手続申立て前に死亡した場合は、相続手続きの中で債務を処理することになります。相続では、負の財産(借金等)も対象となるため、相続人が借金の返済義務を負います。なお、破産手続き申立後、開始決定前であれば、債権者などが続行の申立てをすることにより、相続財産について破産手続きが継続する場合があります。
相続人は相続財産の放棄もしくは限定承認によって返済義務を免れる方法があります。
破産手続開始決定後であれば、相続財産に対して破産手続きが継続します。つまり、破産手続きは継続し、債権者に対して財産が分配されることになりますが、免責手続きは予定されていないため、債務が残ってしまう場合には、上記と同様に、相続人において債務が引継がれることになるため、相続人は相続放棄などを検討することになります。
破産者マップというサイトに氏名や住所が掲載されました。お金を払って削除した方がいい?
A.破産者マップは名誉毀損、プライバシー侵害に該当する可能性が高く、個人情報保護法の観点から見ても問題のあるサイトです。また、お金を支払ったとことで削除される保証はないため支払いに応じることがないよう注意が必要です。
インターネットでは、官報掲載の破産者情報をグーグルマップで紐づけている破産者マップを公開している場合があるようです。情報の削除に関しては、サイト開設者の案内によると、地図上に置いてあるピンの情報を削除するだけで6万円、すべての情報を削除するためには12万円相当のビットコインを支払わなければいけないと記載があります。しかし、このお金を支払ったところで削除される保証はなく、また、仮に高額なビットコインを支払い、一時的に削除された場合であっても、再度官報情報を掲載される可能性もあります。一度お金を支払ってしまうことにより、何度も費用を請求されてしまう可能性もあり、イタチごっこ状態となり得るため、このような金銭の支払いには応じることのないよう注意してください。
現状、破産者マップの運営者は不明であり、公的機関などから削除依頼を出すことは難しいものがあります。しかし、安易にビットコインの支払いに応じれば、今後同種の請求を受ける懸念などがあり、かえってトラブルに巻き込まれかねません。繰り返しになりますが、こういったサイトに金銭を支払うことのないよう十分に注意が必要です。