債務整理とは?4種類の違いやメリット・デメリットをわかりやすく解説

借入が多くてそれが返済できないと不渡りを起こして会社が倒産してしまいます。
あるいは、個人として借入をしていてそれが返済できないと、自宅や車、土地などを差し押さえられ、全財産を失ってしまうことも考えられます。
そうなってしまうと人生が破滅してしまいます。債務超過に陥っている中で、自分の財産を失わず、一文無しにならないための方法として債務整理という法的なスキームがあります。
今回は債務整理4種類「任意整理」「個人再生」「自己破産」「特定調停」について説明します。
債務整理を使うことで、全財産失わず、ある程度債務(支払い義務)も少なくなり、経営や生活を持続できるかもしれません。知っておいて損はないので、ぜひそれぞれの違いについてご理解ください。
目次
債務整理とは合法的に借金を軽減するための手続きや解決方法
債務整理と一言で言っても、実は4種類あります。任意整理、個人再生、自己破産、特定調停、この4つの債務整理の違いや内容について知ってください。みなさまがもし債務整理を実施しなければならなくなった場合も、生活や仕事への影響を最小限にできる方法を選べます。わざわざ副作用が大きな方法を選ぶ必要はありません。
影響を最小限に抑えて、かつ法的に役立つ債務整理の方法をぜひ選んでください。
債務整理の手続きは4種類!それぞれの違いを一覧表で解説
債務整理の手続きは「任意整理」「個人再生」「自己破産」そして「特定調停」の4種類があります。それぞれ違いがありまので押さえておきましょう。下記の表はそれぞれの性質の異同です。それらを踏まえて個々の解説を見ていきましょう。
任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | 特定調停 | |
---|---|---|---|---|
債務減免の程度 | 利息制限法+将来利息カット | 5分の1以上の弁済で済む | 支払い義務がなくなる | 利息制限法+将来利息カット |
手続きの費用 | 5~15万円程度(債権者1社あたり) | 50~90万円程度 | 50〜130万円程度 | 約1000円 |
申立先 | 裁判外(私人間で解決) | 地方裁判所 | 地方裁判所 | 簡易裁判所 |
法的性質 | 和解、契約 | 裁判所の決定(公権力) | 裁判所の決定(公権力) | 調停 |
手続きの期間 | 3~6か月 | 6か月~1年 | 1~2か月 | 3~4か月 |
官報への掲載 | 掲載されない | 掲載される | 掲載される | 掲載されない |
財産の保有 | 問題ない | 担保権が付いていない財産は保有可能 | 一定の財産のみ残せる(生活に不可欠) | 問題ない(返済しないと差し押さえの可能性はあり) |
仕事の制限 | ない | ない | ある(就けない仕事、取れない資格) | ない |
保証人への影響 | 任意整理の対象から外せば影響なし(バレない) | 申し立てで債権者が保証人に請求(バレる) | 自己破産の前に保証人が支払う義務がある(まさにこの時のための保証人) | 申し立てで債権者が保証人に請求(バレる) |
任意整理は債権者と交渉して金利調整や返済期間の延長を行う
任意整理は裁判所などを通さず、法的決定(法律によって○○しなければならない、法的拘束力あり)ではなく、当事者同士で債務についてその減免を話し合って、支払利息を減らしたり、返済期間を延ばしたりする方法です。
契約行為は私人間の自由な意思表示による同意で成立するので、相手も了解したうえでならば当初の契約から変更してもいいのです。交渉に成功した場合、返済が楽になります。弁護士を通して交渉してもOKです。個別に債務の返済について減免あるいは延納を依頼して同意を得ます。
任意整理のメリット
- 特定の債権者(業者)だけを選べるので、クレジットカード会社の契約はそのままにできるケースがある(クレジットカード支払いは任意整理しない)
- 利息制限法の上限を超える金利設定した場合は返還請求できる
- 交渉に成功すれば過度な取り立てはなくなる
- 元金が減る可能性もある
- 財産の差し押さえがない
- 官報や裁判所へ公示されることがない
- したがって家族や会社にバレない
任意整理のデメリット
- ブラックリストに載る。5年~10年程度、新規のクレジットカードの発行や、新規の借入ができなくなる
- 元金が減らない場合、完済まで返済をし続ける必要がある
- 金融機関や消費者金融が交渉、示談に応じないケース、交渉が決裂するケースもある
- 安定した収入が必要になる(安定した収入がない人と交渉の余地はない)
当事者間で話し合うので、法的決定がなされるわけではなく、「公示」(裁判所等に貼り出されること)もありません。今持っているクレジットカードは引き続き使えるかもしれませんが、条件変更したことは信用情報機関に連絡されますので、新規のカード発行は最低5年できなくなります。
個人再生は裁判所に申立てを行い借金の一部を減額してもらう
個人再生とは債務者が裁判所に申し立てることによって、債務(返済額)を大幅に圧縮して減額され、それを3年で返済していく方法です。借金や債務をすべてゼロにすることはできませんが、個人の基盤再生を支援するために、「債務を減らすので自力で返せるものは返して、再スタートを切ろう!」と法律で応援する制度になります。
圧縮額は債務の金額によって異なります。
- 1500万円未満~500万円の場合⇒5分の1
- 500万円未満~100万円の場合⇒100万円
この金額まで借金が減ります。逆に100万円未満の借金はこの制度を使うことができません。100万円なら3年あれば何とか返せるでしょうという判断です。
個人再生のメリット
- 借金が大幅に減額される(下限100万円)
- 取り立てが全て止まる
- 借金に至った経緯は問わない
- 土地、建物などの財産を差し押さえられることはない
- 自己破産ほどの社会的制裁、負の烙印にならない
個人再生のデメリット
- ブラックリストに載る。5年~10年程度、新規のクレジットカードの発行や、新規の借入ができなくなる
- 持っているクレジットカードはすべて止まる
- 官報や裁判所に公示され、家族、友人、第三者にバレるかもしれない
- 安定した収入が申立には必要(安定した収入がないと申立できない)
- 個人での手続きを行うのは非常に難しく弁護士等に依頼することが不可欠(依頼料が数十万円単位でかかる)
個人再生の結果弁護士が中に入って、裁判所の決定によって借金を大幅に減らすことができます。「破産」ではないので、減った債務を返し続けることが条件になります。100%債務免除にはなりませんので返済は続きます。一方で、自己破産ほど社会的に負の烙印を押される(「あの人は破産者だ・・」)ということはなく、少額でも返済し続けていたという実績はある程度評価されるでしょう。
クレジットカードについては信用情報に傷がつくので、5年単位であきらめることになります。
自己破産は全ての債務を免除してもらうための最終手段の手続き
自己破産は債務整理の中では一番知られています。文字通り破産して、一切の債務借金を免れる決定を裁判所に行ってもらいます。本当にすべての借金(の返済義務)がなくなるのですが、それだけに失うもの、デメリットも大きいです。
「お金に換えられるものはすべて換えてそれでも返せないから破産します」という内容ですので、土地や家を差し押さえられ、競売にかけて現金化されることになります。思い出の家もなくなります。
生活必需品や当面の生活費は残りますが、そうではない財産については手放して、借金を帳消しにして助かるという最後の手段です。
自己破産のメリット
- これまでの借金がゼロになる、なくなる
- 取り立てが全て止まる
- 借金に至った経緯は問わない
- 収入がなくても、無職でも手続きができる
自己破産のデメリット
- ブラックリストに載る。5年~10年程度、新規のクレジットカードの発行や、新規の借入ができなくなる
- 持っているクレジットカードはすべて止まる
- 借地借家(アパートを借りる)など新規の契約の際にバレれば契約できないかもしれない
- 官報や裁判所に公示され、家族、友人、第三者にバレるかもしれない
- 持っている換金性のある財産はすべて差し押さえられる(公権力によって強制的に売却させられる)
- 差し押さえがあれば家族や友人にはバレる
- 自己破産すると就けない仕事がある(試験を受けて資格を取得することは可能。しかしその資格で働けない)
- 個人で自己破産の手続きを行うのは非常に難しく結果的に数十万円の報酬を支払い弁護士に依頼しなければならない
- 「破産者」という社会的に不名誉な烙印を押され、以後の生活に大幅なマイナスになる
- 保証人が代わりに弁済する義務を負う。連帯保証人の場合はまさに家を失うかも
デメリットが他の債務整理とは段違いに多いです。もし自己破産した人だとバレれば、世間の視線は非常に厳しいものになります。また自己破産者が就けない職業・仕事もあります。保証人や連帯保証人に甚大な影響が出る可能性があります(債務を弁済できない時のための保証人です)。
一時期有名になった「破産者マップ」は社会的に大きな反響を受けました。自己破産者をまるで犯罪者のようにみる風潮は残念ながらあります。自己破産について知らない人が多いのに、このような不当な扱いを受けてしまいます。それでも、債務を免じて新しく歩みを始められるのは最後の手段として有効です。
自己破産によって財産も多くを失います。本当に最後の手段であり、借金がなくなる代わりに失うものも非常に大きい、と肝に銘じてください。クレジットカードが作れないだけではないので、安易に取るべきではなく、自己破産する前に任意整理や個人再生で何とかするべきです。
特定調停は裁判所で調停委員が仲介し債権者と返済条件を交渉
特定調停は簡易裁判所に申し立てをして、支払い条件を変更してもらう法的手続きです。これだけ見ると、個人再生に似ていますが、個人再生は裁判所の決定で債権者もある程度従うことが求められますが、特定調停はあくまで「調停」であり、裁判所が提示した条件を債権者が断ることもできます。
私的整理は弁護士を介して私人間で交渉しますが、特定調停は弁護士の代わりに裁判所が関与して交渉します。裁判所は公的機関なので法定費用以外の報酬がかからず、安くおさめたい場合はこれしかありません。
特定調停で免じられるのは、「グレーゾーン金利」の部分の金利や将来発生する金利であり、元本は返済する必要があります。要は、任意整理があくまで弁護士が入った私人間の交渉であるのに対して、特定調停は国家権力たる裁判所が入った交渉です。もし特定調停で決定した返済条件を守らない場合、裁判所所がその権力を行使し、財産の差し押さえなどを容赦なく行います。
任意整理と似ていますが、若干きつい圧力のある条件変更の交渉になります。
特定調停のメリット
- 利息制限法の上限を超える金利設定した場合は返還請求できる
- 費用が安い(弁護士を介さないので)
- どの債権者と合意するのかを自由に選ぶことができる
- 財産をある程度自由に残せる
- 自己破産すると就業できないリスクを回避できる
特定調停のデメリット
- 債権者からの取り立て行為が止まるまで時間がかかる場合がある
- 必ずしも調停委員が債務整理の専門家ではないこと
- 調停なので債権者が拒否すれば成立しない
- 裁判所の調停官が債務整理に詳しくない可能性がある
特定調停は任意整理に若干裁判所が関与し、拘束力を持たせたものですが、基本的に当事者間で解決するスキームになります。決まった調停案を履行しない場合、裁判所が国家権力を行使して、履行させる、そのくらいの印象になります。
以上が各債務整理の説明になります。
債務整理の深刻度は
自己破産>個人再生>特定調停>任意整理
になります。右の段階でとどまれば、社会的な信用や信用情報の悪化を最小限に抑えられます。何が今の状況に最適な債務整理なのか経営者として判断してください。その際には、そもそも債務整理ではなく経営改善で乗り越えられる可能性もあるので、弁護士や税理士、経営コンサルタントなどとしっかり話し合って対応を決めてください。
債務整理のメリット4選!法律に基づいた安心な手続き・解決策

債務整理をすることには大きなメリットがあります。このメリットがあるから、弁護士等に依頼しても債務整理を申請します。法的な債務が債務整理によって安定するので、そのまま返済できない状態を続けるよりも望ましい結果になります。
- 債権者からの取り立てや催促が停止して精神的負担が軽減される
- 任意整理や個人再生では無理のない範囲で分割払いに変更できる
- 自己破産は全ての借金が免除されるため返済義務から解放される
- 過去に高金利返済していた場合は払い過ぎた過払い金が返還される
それぞれ順に解説します。
債権者からの取り立てや催促が停止して精神的負担が軽減される
債務が増えると期日までに返済できなくなります。当然返済できないと債権者から催促があります。昔のように家を訪れて怒鳴り込む、待ち伏せしてつるし上げる、暴力などを受ける、こうした脅迫行為をするようなケースは少なくなりました。電話での催促も常識的な時間に行われるはずです(早朝や深夜は行われます)。
しかし、いつまでもこのように取り立てがあるのは精神的なダメージになります。債務不履行をしている時点で、いつ債権者から民事訴訟を起こされるのかわからない中で生活するのはとても耐えられない状態です。
債務整理によって法的な裏付けがある対応がなされます。ひとまず、債務の状態が安定し、それ以上の取り立てはなくなります。これにより、精神的に追い詰められることが減ります。結果として、取り立て圧力を気にせず日々の業務を行うことが可能になります。
任意整理や個人再生では無理のない範囲で分割払いに変更できる
任意整理は私人間での条件変更、個人再生は裁判所が関与した形での債務の圧縮です。無理のない形で、みなさんの返済能力に応じた分割払いになります。
利子がきつくないリボ払いのようなものですが、これによって返済は継続し、それでも自分の負担能力に応じて無理なく返済できるようになります。
自己破産は失うものが多すぎますが、任意整理や個人再生であれば、返済を放棄したわけではなく、条件変更にとどまります。ほとんど犯罪者と同じような烙印を押され、社会的評価も底の底まで落ちる自己破産と比べて、まだある程度の信用は維持されています。
自己破産してから立ち直る会社はとても少ないですが、任意整理や個人再生から見事復活した会社は少なくありません。将来への希望も含めて、まだ十分反転攻勢する余地が、任意整理や個人再生では残るとご認識ください。
自己破産は全ての借金が免除されるため返済義務から解放される
自己破産はこれまで背負っていた債務がなくなります。そのため返済義務を果たさないことの後ろめたさや、取り立てに追われる精神的負荷も減ります。
一方で、「この人、この会社は破産しました」と官報に掲載され、社会の知るところになります。「破産者マップ」が拡散した時の反応をみればわかりますが、ほとんど犯罪者と同じように世間からは見られてしまいます。すべての債務を帳消しにできるメリットは大きいのですが、それによって失うものも大きくなります。
もちろん、新規の借入やローンを組むことはなどは5年~10年にわたり不可能になります。後述のように自己破産歴が信用情報に掲載されるためで「信用ゼロの人」という扱いになります。
それでも債務がなくなることで救われる面も多く、人生におけるぎりぎりの判断になります。自己破産は最後の手段なので、それ以外にできること(債務整理でも任意整理や個人再生を検討する)をすべて行い、あとは自己破産しかないという場面でのみ自己破産を検討してください。
過去に高金利返済していた場合は払い過ぎた過払い金が返還される
債務が多く、返済が厳しい状況(原因)が高金利にある場合、ひょっとすると「過払い金請求」できるかもしれません。過払い請求は今のトレンドではなく、10年ほど前のトレンドでした。
銀行融資や消費者金融も含めて、融資を受ける場合の上限金利は「利息制限法」という法律によって以下のように決まっています。
借入金額 | 金利上限 |
---|---|
10万円未満 | 20% |
10万円以上100万円未満 | 18% |
100万円以上 | 15% |
実際に融資を受ける場合、数万円ということはなく100万円を超えるはずなので、利息上限は多くの場合15%になります。しかし、以前は「グレーゾーン金利」というものがありました。
利息制限法に類似した法律として「出資法」があり、これも上限金利を規定しています。詳細は省きますが、利息制限法では規定された金利を超えた場合は無効となり、出資法では超過した場合に刑事罰が課されます。
かつては
法律 | 金利上限 |
---|---|
出資法 | 上限29.2% |
利息制限法 | 上限20% |
という数字になっていて、
両者に上限金利の違いがありました。この差の20%から29.2%の金利帯が「グレーゾーン金利」と呼ばれ、実質的に黙認されていたのです。利息制限法を超える金利は無効ですが、これは利用者が裁判などを起こさないと無効にして取り戻せません。
借入をこの範囲で結んでも、裁判を起こさなければ無効にはできなかったため、多くの借主が救済を受けられず、社会問題となりました。29.2%を超える金利は問答無用で刑事罰なので、ヤミ金融や反社会的勢力以外の貸し付けてこれを超えることは少なかったです。一方、利息制限法上限が20%でも上の表のように100万円以上は15%なので、実際には利息制限法と出資法で14.2%、つまり倍近い差がありました。
このグレーゾーン金利を悪用して、一部消費者金融は不当に高い金利を請求していました。それが原因で、利息を返せず自己破産に追い込まれる人、もっと悪質なヤミ金融を利用してしまう人などが出てきました。
以前行われていた過払い金請求は、専門の弁護士がグレーゾーン金利の支払い分を時効前に取り戻すものでした。現在では、利息制限法と出資法の上限金利は共に20%に統一されていますが、依然として高利で貸し付けたい業者の意図が透けて見える事例と言えるでしょう。
出資法の上限が29.2%→20%に下がり、利息制限法と同じになったのが、貸金業法と出資法が改正された2010年6月18日以降です。これにより「グレーゾーン金利」は撤廃されました。
「グレーゾーン金利」が存在した時期に20%を超える金利で融資を受けた場合、債務整理の段階で過払い金請求ができる可能性がありますので、心当たりのある方は弁護士に相談してください。過払い金請求で債務が相殺され、債務整理せずに済むかもしれません。
ただし、過払い金請求権には時効があります。時効は10年です。出資法改正により「グレーゾーン金利」がなくなってから14年以上経っています。理屈で行くと、もう過払い金請求できないのでは?と思われるかもしれません。実は過払い金請求できる条件があります。
- 最終取引から10年を超えていない
- 一度完済したが同じ業者から再び借り入れを行い、そこから10年経過していない
つまり、「グレーゾーン金利」で2010年以前に借入し、それ以降、利息制限法の金利内で新しくその会社から融資を受けて10年経っていない場合、2010年以前の「グレーゾーン金利」=「過払い分」についてはまだ請求できる可能性があります。
債務の返済が厳しいのが「グレーゾーン金利」にある場合、詳しいことを弁護士に相談してみてください。
債務整理のデメリット4選!債務整理したらどうなる?生活は?

債務整理を行うことで、法的な返済義務の一部ないし全部を免れることが可能になります。しかし、本来履行しなければならない債務を免れる「特例」を受けるわけですから、当然ペナルティを受けることになります。
それでも債務を履行できず、債権者から法的措置や訴訟を受けて負け、多くの財産(場合によっては全財産)失うことは避けたいはずです。それでも債務整理は、本来果たさなければならない義務を免じてもらうことなので、大きなデメリット、ペナルティを受けることになります。
- 信用情報機関に記録されていわゆるブラックリストに掲載される
- 自己破産したら生活に不要な不動産や車などが処分されてしまう
- 債務整理を行うと取引先の信用を失うなど社会的信用が低下する
- 債務整理で借金が免除されても連帯保証人は返済する義務がある
それぞれ順に解説します。
信用情報機関に記録されていわゆるブラックリストに掲載される
融資を受ける際、金融機関は信用情報機関からその人の過去の融資歴や返済履歴を受け取り審査に用います。過去に返済事故(返済遅延)を起こしていることだけでも大きなマイナスになります。あとは、銀行ではなく消費者金融からの借入をしていた場合です。
債務整理の履歴についても、信用情報に記載されます。債務整理歴が信用情報照会によってわかると、そのマイナス点は返済遅延や消費者金融とは比べ物になりません。借りたものを返さないどころか、借りたものを法的になかったことにするような人に「信用」はありません。「ブラックリスト」に掲載され、融資を受けることは不可能になります。
5~10年は住宅ローンやクレジットカードの新規契約が難しい
具体的には5年~10年は新規のローンを組むことができなくなります。信用情報に債務整理を受けたと記載されるのが5年~10年になります。信用情報から消えれば、審査の過程で債務整理の事実が分からなくなるので、理屈としては再び借りられることになります。クレジットカードも同様で、信用がない人がカードの審査に通ることはなくなります。
例えば「ブラックリスト」から消えるのが5年と仮定します。
2024年に「ブラックリスト」の載った場合、2029年にその事実が消え、2030年ならばローンの審査に通ったり、新規カードを作れたりします。
しかし、途中で2027年に申し込みをした場合、当然審査で落ちます。この「2027年に審査に落ちた」という履歴も信用情報に載るので、2030年に申し込みしても「2027年に審査に落ちた」という情報が照会され、「なぜなのか?」と金融機関やカード会社に疑問を持たれてしまいます。
つまり、完全に「ブラックリスト」から消えるまでは、何も新規のアクションを起こせないことになります。これは大きなデメリットになります。
自己破産したら生活に不要な不動産や車などが処分されてしまう
自己破産は債務整理の中でも一番大きなペナルティを受けます。生活に不可欠な最低限の住まいや動産以外はすべて差し押さえられ、競売によって現金化されてしまいます。
自己破産すると、家や先祖代々の土地や車までも差し押さえられる可能性があります。当然、ローンを受けられないので、購入もできなくなります。
自己破産すると処分されてしまうものは以下になります。
自己破産すると、次のような財産が処分(差し押さえ)の対象となります。
- 99万円を超える現金
- 20万円を超える預貯金や有価証券類
- 生命保険や個人年金の解約返戻金
- 土地や建物などの不動産(自宅含む)
- 自動車やバイクなど
- 株やFX、仮想通貨などの金融資産
- 貸付金や売掛金などの債権
- 貴金属やブランド品、骨董品など
- 退職金の一部
生活に必要な小口現金と最低限の住居や生活必需品のみで、人生再出発を図らなければならなくなります。
自己破産したら弁護士や税理士などの一部職業は活動に制限あり
自己破産して復権するまで(一定期間経つまで=おおよそ「ブラックリスト」から消える期間)、一定の職業として働くことができません。
犯罪者になったわけではないので、資格をはく奪されるのではなく、自己破産後、復権するまでその職業として働けないのです。
自己破産で活動が制限される主な仕事は以下になります(他にもあります)。
- 弁護士
- 司法書士
- 弁理士
- 行政書士
- 税理士
- 社会保険労務士
- 宅地建物取引士
- 不動産鑑定士
- 土地家屋調査士
- 建築士
- 警備員
- 生命保険募集人(保険の勧誘)
- 旅行業(登録)
- 貸金業
有名な「サムライ(士)資格」とお金を扱う仕事は自己破産によって制限されることになります。一方で、医師、歯科医師、看護師、薬剤師など医療系の「師」資格は制限されません。
債務整理を行うと取引先の信用を失うなど社会的信用が低下する
債務整理を行うと自己破産や個人再生は官報に掲示され公の知るところになります。そうでなくても、HPに掲載するなどの措置がコンプライアンス上必要になります。お金を貸している金融機関から情報が洩れることもあります。
債務整理を行った事業者の信頼はなくなります。モノを売っても払ってもらえる保証、信用がないので、取引先は取引を打ち切るか、減らしていくかもしれません。
倒産するよりはマシかもしれませんが、借金が減っても(免じられても)、本業の売上が大きく下がってしまう可能性があります。
債務整理で借金が免除されても連帯保証人は返済する義務がある
Aさんが債務者、Bさんが連帯保証人の場合、Aさんの借金について債務整理が行われたと仮定します。1000万円の借金をAさんがCさんに対して持っていて、Aさんが自己破産した場合Aさんは1000万円沿い払う債務がなくなります(不動産などを処分して)。
しかし、1000万円の債務が消えたわけではなく、CさんはAさんが払えないなら連帯保証人のBさんへ1000万円の支払いを請求する権利があります。請求された連帯保証人のBさんは拒めません。BさんはAさんに代わり1000万円を支払う義務があります。
これでBさんが支払いできなければBさんも債務整理することになります。「連帯保証人にはなるな!」と言われるのはこのようなことが起きるからなのです。
債務整理に関するよくある質問に回答!不安をここで解消しよう
債務整理について漠然とした不安を持つ方も多いかと存じます。そこで、4つ質問に答える形で不安点を解消しておきましょう。これも参考に債務整理するかどうか考えてください。
- 債務整理の費用はどのくらいかかりますか?分割は可能ですか?
- どうしても今の家に住みたいのですが住宅を残すことはできる?
- 債務整理の途中なのですがもし返済が滞ったらどうなりますか?
- 債務整理をすると家族に迷惑がかかりますか?家族への影響は?
債務整理の費用はどのくらいかかりますか?分割は可能ですか?
債務整理にかかる費用はその種類によって大きく変わります。以下の表を参考にしてください。
任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | 特定調停 | |
---|---|---|---|---|
手続きの費用 | 5~15万円程度(債権者1社あたり) | 50~90万円程度 | 50〜130万円程度 | 約1000円 |
費用は「弁護士費用」と「裁判所費用」に分かれます。任意整理は裁判所を通さない当事者間の交渉手続きのため、裁判所費用は発生しません。
弁護士(や司法書士:金額によっては司法書士も可能)に依頼する場合は、成功報酬(おおむね10%程度)もかかります。また、交渉する債権者数などにより、実費として数千円~1万円程度がかかる場合があります。
債務整理の費用が払えない場合でも、弁護士に依頼することは可能です(費用は後払い)。債務整理を依頼すると、最短即日で取り立てがストップするため、交渉や手続きが完了するまでは実質返済しなくてもよくなります。
費用の分割払いですが、弁護士費用については分割可能です。弁護士によるのですが、依頼前に分割可能か確認しておきましょう。基本的に「成功報酬」なので後払いです(着手金は先払いのことあり)。
裁判費用については債務整理申立費用は一括払いです。収入印紙を購入し提出、事務用の郵券は現物を買って納付します。展開によっては「破産管財人」(自己破産)、「個人再生委員」(個人再生)への報酬が数十万円単位で発生することがありますが、それも原則一括払いです。ただし、裁判所の判断で分割払いが認められることもあります。
また、法テラスの「民事法律扶助」という制度を利用すると、弁護士に債務整理を依頼する費用が非常に安くなります。生活保護を受けている方の場合、かかる費用は0円になります。
債務整理の費用 | 分割払いの可否 |
---|---|
弁護士費用(任意整理、個人再生、自己破産) | 分割払いOKの弁護士なら可能 |
裁判所の手続き(法定費用) | 収入印紙や切手で一括払い、分割払い不可 |
破産管財人や個人再生委員への報酬 | 分割払い不可、裁判所の判断で例外的に認められることも |
どうしても今の家に住みたいのですが住宅を残すことはできる?
債務整理の場合でも「任意整理」「個人再生」「特定調停」の場合は、今住んでいる家を残すことができます。しかし、「自己破産」の場合は持ち家の場合、差し押さえられ競売にかけられてしまいます。
自己破産後、手元に残せるのは
- 99万円までの現金
- 衣類や家具など、生活に最低限必要なもの(ただし、高額なものは処分の対象となる場合あり)
のみです。言うまでもなく持ち家の場合、土地建物合わせればこの基準を超えてしまいます。差し押さえから競売執行まで3か月くらいあるので、それまでに引っ越しをしなければなりません。
借家や賃貸マンションの場合、そのまま住み続けられますが、
- 家賃を滞納し続けている
- 収入に見合わない高級賃貸物件
- 保証会社に更新を断られる
場合は、賃貸物件を出て行かなければならなくなる可能性もあります。なお、破産法の改正で「賃借人が破産した場合に契約の解除を認める」契約はできなくなりました。自己破産したという理由で大家さんから「出ていけ」ということはないのでご安心ください。
なお、自己破産により売却した家の買主(不動産会社)と交渉し、その家に賃貸として住む「リースパック」という仕組みもあります。これは合法なので、どうしても手放した家に住みたい場合は、弁護士等に相談してみてください。
債務整理の途中なのですがもし返済が滞ったらどうなりますか?
基本的に債務整理によって条件変更しても、それを守らないので、債務整理しなかった場合のように、返済不能、債務不履行で相手から法的に訴えられ、自己破産の「防衛ライン」も突破、家や財産をすべて失う可能性が出てきます。
また、「返す余力があるのに意図的に返さない」と判断されれば、詐欺罪など刑事告発されるリスクもゼロではありません。
手続きの種類 | 返済が滞った場合 |
---|---|
任意整理の場合 | 債権者との合意に基づいて分割返済をしている途中で返済が滞ると、債権者との合意が無効になる可能性があります。この場合、元の借金の金額や利息が復活し、一括返済を求められることもあります。 |
個人再生の場合 | 裁判所の認可を受けた再生計画に基づいて返済を行っている場合、返済が滞ると再生計画が失効することがあります。その結果、債権者が強制執行などの手段を取ることが可能になり、財産の差し押さえなどが行われるリスクがあります。結果、再生計画以上に財産を失う可能性が出てきます。 |
自己破産の場合 | 自己破産の場合、そもそも返済義務がなくなるのですが、手続き中に不義理や虚偽申告などが見つかり、破産手続きが不許可となるような行為が見つかった場合、手続きが打ち切られる可能性があります。その場合は、手元の小口現金や生活必需品すら失うことになりかねません。 |
債務整理をすると家族に迷惑がかかりますか?家族への影響は?
いくつかのケースで家族に悪影響が出る可能性があります。
状況 | 家族への影響 |
---|---|
家族が保証人の場合 | 家族が保証人の場合、みなさんの債務は債務整理によって減免されますが、その支払いは保証人(連帯保証人)である家族へ行きます。家族がみなさんの債務を弁済することになり大変なことになります。 |
家族からお金を借りている場合 | 事業用資金などで家族からお金を借りている場合は、その返済義務(債務)も債務整理の対象になります(借りている場合。家族からもらっている場合は贈与税の対象)。裁判所に申立てをして進める「個人再生」や「自己破産」では、基本的にすべての債権者を手続きの対象とするので、家族から借金している場合は家族も債権者となり、事情を聞かれるなどされます。当然債務整理についてバレます。 |
持ち家や車がある場合 | 自己破産すると家や車を差し押さえられてしまいます。家や車が破産者名義の場合、それを失うため、家に住んでいて車に乗っている家族は甚大な影響を受けます。一緒に住み家も乗る車も失ってしまいます。自己破産以外の債務整理の場合は、そこまでの影響を受けませんが、信用情報に債務整理について記載されるため、新規の住宅ローンや自動車ローンが組めなくなります。そうなると家族の生活への影響も非常に大きくなります。 |
債務整理とは?4種類の違いやメリット・デメリットをわかりやすく解説

借入が多くてそれが返済できないと不渡りを起こして会社が倒産してしまいます。
あるいは、個人として借入をしていてそれが返済できないと、自宅や車、土地などを差し押さえられ、全財産を失ってしまうことも考えられます。
そうなってしまうと人生が破滅してしまいます。債務超過に陥っている中で、自分の財産を失わず、一文無しにならないための方法として債務整理という法的なスキームがあります。
今回は債務整理4種類「任意整理」「個人再生」「自己破産」「特定調停」について説明します。
債務整理を使うことで、全財産失わず、ある程度債務(支払い義務)も少なくなり、経営や生活を持続できるかもしれません。知っておいて損はないので、ぜひそれぞれの違いについてご理解ください。
目次
債務整理とは合法的に借金を軽減するための手続きや解決方法
債務整理と一言で言っても、実は4種類あります。任意整理、個人再生、自己破産、特定調停、この4つの債務整理の違いや内容について知ってください。みなさまがもし債務整理を実施しなければならなくなった場合も、生活や仕事への影響を最小限にできる方法を選べます。わざわざ副作用が大きな方法を選ぶ必要はありません。
影響を最小限に抑えて、かつ法的に役立つ債務整理の方法をぜひ選んでください。
債務整理の手続きは4種類!それぞれの違いを一覧表で解説
債務整理の手続きは「任意整理」「個人再生」「自己破産」そして「特定調停」の4種類があります。それぞれ違いがありまので押さえておきましょう。下記の表はそれぞれの性質の異同です。それらを踏まえて個々の解説を見ていきましょう。
任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | 特定調停 | |
---|---|---|---|---|
債務減免の程度 | 利息制限法+将来利息カット | 5分の1以上の弁済で済む | 支払い義務がなくなる | 利息制限法+将来利息カット |
手続きの費用 | 5~15万円程度(債権者1社あたり) | 50~90万円程度 | 50〜130万円程度 | 約1000円 |
申立先 | 裁判外(私人間で解決) | 地方裁判所 | 地方裁判所 | 簡易裁判所 |
法的性質 | 和解、契約 | 裁判所の決定(公権力) | 裁判所の決定(公権力) | 調停 |
手続きの期間 | 3~6か月 | 6か月~1年 | 1~2か月 | 3~4か月 |
官報への掲載 | 掲載されない | 掲載される | 掲載される | 掲載されない |
財産の保有 | 問題ない | 担保権が付いていない財産は保有可能 | 一定の財産のみ残せる(生活に不可欠) | 問題ない(返済しないと差し押さえの可能性はあり) |
仕事の制限 | ない | ない | ある(就けない仕事、取れない資格) | ない |
保証人への影響 | 任意整理の対象から外せば影響なし(バレない) | 申し立てで債権者が保証人に請求(バレる) | 自己破産の前に保証人が支払う義務がある(まさにこの時のための保証人) | 申し立てで債権者が保証人に請求(バレる) |
任意整理は債権者と交渉して金利調整や返済期間の延長を行う
任意整理は裁判所などを通さず、法的決定(法律によって○○しなければならない、法的拘束力あり)ではなく、当事者同士で債務についてその減免を話し合って、支払利息を減らしたり、返済期間を延ばしたりする方法です。
契約行為は私人間の自由な意思表示による同意で成立するので、相手も了解したうえでならば当初の契約から変更してもいいのです。交渉に成功した場合、返済が楽になります。弁護士を通して交渉してもOKです。個別に債務の返済について減免あるいは延納を依頼して同意を得ます。
任意整理のメリット
- 特定の債権者(業者)だけを選べるので、クレジットカード会社の契約はそのままにできるケースがある(クレジットカード支払いは任意整理しない)
- 利息制限法の上限を超える金利設定した場合は返還請求できる
- 交渉に成功すれば過度な取り立てはなくなる
- 元金が減る可能性もある
- 財産の差し押さえがない
- 官報や裁判所へ公示されることがない
- したがって家族や会社にバレない
任意整理のデメリット
- ブラックリストに載る。5年~10年程度、新規のクレジットカードの発行や、新規の借入ができなくなる
- 元金が減らない場合、完済まで返済をし続ける必要がある
- 金融機関や消費者金融が交渉、示談に応じないケース、交渉が決裂するケースもある
- 安定した収入が必要になる(安定した収入がない人と交渉の余地はない)
当事者間で話し合うので、法的決定がなされるわけではなく、「公示」(裁判所等に貼り出されること)もありません。今持っているクレジットカードは引き続き使えるかもしれませんが、条件変更したことは信用情報機関に連絡されますので、新規のカード発行は最低5年できなくなります。
個人再生は裁判所に申立てを行い借金の一部を減額してもらう
個人再生とは債務者が裁判所に申し立てることによって、債務(返済額)を大幅に圧縮して減額され、それを3年で返済していく方法です。借金や債務をすべてゼロにすることはできませんが、個人の基盤再生を支援するために、「債務を減らすので自力で返せるものは返して、再スタートを切ろう!」と法律で応援する制度になります。
圧縮額は債務の金額によって異なります。
- 1500万円未満~500万円の場合⇒5分の1
- 500万円未満~100万円の場合⇒100万円
この金額まで借金が減ります。逆に100万円未満の借金はこの制度を使うことができません。100万円なら3年あれば何とか返せるでしょうという判断です。
個人再生のメリット
- 借金が大幅に減額される(下限100万円)
- 取り立てが全て止まる
- 借金に至った経緯は問わない
- 土地、建物などの財産を差し押さえられることはない
- 自己破産ほどの社会的制裁、負の烙印にならない
個人再生のデメリット
- ブラックリストに載る。5年~10年程度、新規のクレジットカードの発行や、新規の借入ができなくなる
- 持っているクレジットカードはすべて止まる
- 官報や裁判所に公示され、家族、友人、第三者にバレるかもしれない
- 安定した収入が申立には必要(安定した収入がないと申立できない)
- 個人での手続きを行うのは非常に難しく弁護士等に依頼することが不可欠(依頼料が数十万円単位でかかる)
個人再生の結果弁護士が中に入って、裁判所の決定によって借金を大幅に減らすことができます。「破産」ではないので、減った債務を返し続けることが条件になります。100%債務免除にはなりませんので返済は続きます。一方で、自己破産ほど社会的に負の烙印を押される(「あの人は破産者だ・・」)ということはなく、少額でも返済し続けていたという実績はある程度評価されるでしょう。
クレジットカードについては信用情報に傷がつくので、5年単位であきらめることになります。
自己破産は全ての債務を免除してもらうための最終手段の手続き
自己破産は債務整理の中では一番知られています。文字通り破産して、一切の債務借金を免れる決定を裁判所に行ってもらいます。本当にすべての借金(の返済義務)がなくなるのですが、それだけに失うもの、デメリットも大きいです。
「お金に換えられるものはすべて換えてそれでも返せないから破産します」という内容ですので、土地や家を差し押さえられ、競売にかけて現金化されることになります。思い出の家もなくなります。
生活必需品や当面の生活費は残りますが、そうではない財産については手放して、借金を帳消しにして助かるという最後の手段です。
自己破産のメリット
- これまでの借金がゼロになる、なくなる
- 取り立てが全て止まる
- 借金に至った経緯は問わない
- 収入がなくても、無職でも手続きができる
自己破産のデメリット
- ブラックリストに載る。5年~10年程度、新規のクレジットカードの発行や、新規の借入ができなくなる
- 持っているクレジットカードはすべて止まる
- 借地借家(アパートを借りる)など新規の契約の際にバレれば契約できないかもしれない
- 官報や裁判所に公示され、家族、友人、第三者にバレるかもしれない
- 持っている換金性のある財産はすべて差し押さえられる(公権力によって強制的に売却させられる)
- 差し押さえがあれば家族や友人にはバレる
- 自己破産すると就けない仕事がある(試験を受けて資格を取得することは可能。しかしその資格で働けない)
- 個人で自己破産の手続きを行うのは非常に難しく結果的に数十万円の報酬を支払い弁護士に依頼しなければならない
- 「破産者」という社会的に不名誉な烙印を押され、以後の生活に大幅なマイナスになる
- 保証人が代わりに弁済する義務を負う。連帯保証人の場合はまさに家を失うかも
デメリットが他の債務整理とは段違いに多いです。もし自己破産した人だとバレれば、世間の視線は非常に厳しいものになります。また自己破産者が就けない職業・仕事もあります。保証人や連帯保証人に甚大な影響が出る可能性があります(債務を弁済できない時のための保証人です)。
一時期有名になった「破産者マップ」は社会的に大きな反響を受けました。自己破産者をまるで犯罪者のようにみる風潮は残念ながらあります。自己破産について知らない人が多いのに、このような不当な扱いを受けてしまいます。それでも、債務を免じて新しく歩みを始められるのは最後の手段として有効です。
自己破産によって財産も多くを失います。本当に最後の手段であり、借金がなくなる代わりに失うものも非常に大きい、と肝に銘じてください。クレジットカードが作れないだけではないので、安易に取るべきではなく、自己破産する前に任意整理や個人再生で何とかするべきです。
特定調停は裁判所で調停委員が仲介し債権者と返済条件を交渉
特定調停は簡易裁判所に申し立てをして、支払い条件を変更してもらう法的手続きです。これだけ見ると、個人再生に似ていますが、個人再生は裁判所の決定で債権者もある程度従うことが求められますが、特定調停はあくまで「調停」であり、裁判所が提示した条件を債権者が断ることもできます。
私的整理は弁護士を介して私人間で交渉しますが、特定調停は弁護士の代わりに裁判所が関与して交渉します。裁判所は公的機関なので法定費用以外の報酬がかからず、安くおさめたい場合はこれしかありません。
特定調停で免じられるのは、「グレーゾーン金利」の部分の金利や将来発生する金利であり、元本は返済する必要があります。要は、任意整理があくまで弁護士が入った私人間の交渉であるのに対して、特定調停は国家権力たる裁判所が入った交渉です。もし特定調停で決定した返済条件を守らない場合、裁判所所がその権力を行使し、財産の差し押さえなどを容赦なく行います。
任意整理と似ていますが、若干きつい圧力のある条件変更の交渉になります。
特定調停のメリット
- 利息制限法の上限を超える金利設定した場合は返還請求できる
- 費用が安い(弁護士を介さないので)
- どの債権者と合意するのかを自由に選ぶことができる
- 財産をある程度自由に残せる
- 自己破産すると就業できないリスクを回避できる
特定調停のデメリット
- 債権者からの取り立て行為が止まるまで時間がかかる場合がある
- 必ずしも調停委員が債務整理の専門家ではないこと
- 調停なので債権者が拒否すれば成立しない
- 裁判所の調停官が債務整理に詳しくない可能性がある
特定調停は任意整理に若干裁判所が関与し、拘束力を持たせたものですが、基本的に当事者間で解決するスキームになります。決まった調停案を履行しない場合、裁判所が国家権力を行使して、履行させる、そのくらいの印象になります。
以上が各債務整理の説明になります。
債務整理の深刻度は
自己破産>個人再生>特定調停>任意整理
になります。右の段階でとどまれば、社会的な信用や信用情報の悪化を最小限に抑えられます。何が今の状況に最適な債務整理なのか経営者として判断してください。その際には、そもそも債務整理ではなく経営改善で乗り越えられる可能性もあるので、弁護士や税理士、経営コンサルタントなどとしっかり話し合って対応を決めてください。
債務整理のメリット4選!法律に基づいた安心な手続き・解決策

債務整理をすることには大きなメリットがあります。このメリットがあるから、弁護士等に依頼しても債務整理を申請します。法的な債務が債務整理によって安定するので、そのまま返済できない状態を続けるよりも望ましい結果になります。
- 債権者からの取り立てや催促が停止して精神的負担が軽減される
- 任意整理や個人再生では無理のない範囲で分割払いに変更できる
- 自己破産は全ての借金が免除されるため返済義務から解放される
- 過去に高金利返済していた場合は払い過ぎた過払い金が返還される
それぞれ順に解説します。
債権者からの取り立てや催促が停止して精神的負担が軽減される
債務が増えると期日までに返済できなくなります。当然返済できないと債権者から催促があります。昔のように家を訪れて怒鳴り込む、待ち伏せしてつるし上げる、暴力などを受ける、こうした脅迫行為をするようなケースは少なくなりました。電話での催促も常識的な時間に行われるはずです(早朝や深夜は行われます)。
しかし、いつまでもこのように取り立てがあるのは精神的なダメージになります。債務不履行をしている時点で、いつ債権者から民事訴訟を起こされるのかわからない中で生活するのはとても耐えられない状態です。
債務整理によって法的な裏付けがある対応がなされます。ひとまず、債務の状態が安定し、それ以上の取り立てはなくなります。これにより、精神的に追い詰められることが減ります。結果として、取り立て圧力を気にせず日々の業務を行うことが可能になります。
任意整理や個人再生では無理のない範囲で分割払いに変更できる
任意整理は私人間での条件変更、個人再生は裁判所が関与した形での債務の圧縮です。無理のない形で、みなさんの返済能力に応じた分割払いになります。
利子がきつくないリボ払いのようなものですが、これによって返済は継続し、それでも自分の負担能力に応じて無理なく返済できるようになります。
自己破産は失うものが多すぎますが、任意整理や個人再生であれば、返済を放棄したわけではなく、条件変更にとどまります。ほとんど犯罪者と同じような烙印を押され、社会的評価も底の底まで落ちる自己破産と比べて、まだある程度の信用は維持されています。
自己破産してから立ち直る会社はとても少ないですが、任意整理や個人再生から見事復活した会社は少なくありません。将来への希望も含めて、まだ十分反転攻勢する余地が、任意整理や個人再生では残るとご認識ください。
自己破産は全ての借金が免除されるため返済義務から解放される
自己破産はこれまで背負っていた債務がなくなります。そのため返済義務を果たさないことの後ろめたさや、取り立てに追われる精神的負荷も減ります。
一方で、「この人、この会社は破産しました」と官報に掲載され、社会の知るところになります。「破産者マップ」が拡散した時の反応をみればわかりますが、ほとんど犯罪者と同じように世間からは見られてしまいます。すべての債務を帳消しにできるメリットは大きいのですが、それによって失うものも大きくなります。
もちろん、新規の借入やローンを組むことはなどは5年~10年にわたり不可能になります。後述のように自己破産歴が信用情報に掲載されるためで「信用ゼロの人」という扱いになります。
それでも債務がなくなることで救われる面も多く、人生におけるぎりぎりの判断になります。自己破産は最後の手段なので、それ以外にできること(債務整理でも任意整理や個人再生を検討する)をすべて行い、あとは自己破産しかないという場面でのみ自己破産を検討してください。
過去に高金利返済していた場合は払い過ぎた過払い金が返還される
債務が多く、返済が厳しい状況(原因)が高金利にある場合、ひょっとすると「過払い金請求」できるかもしれません。過払い請求は今のトレンドではなく、10年ほど前のトレンドでした。
銀行融資や消費者金融も含めて、融資を受ける場合の上限金利は「利息制限法」という法律によって以下のように決まっています。
借入金額 | 金利上限 |
---|---|
10万円未満 | 20% |
10万円以上100万円未満 | 18% |
100万円以上 | 15% |
実際に融資を受ける場合、数万円ということはなく100万円を超えるはずなので、利息上限は多くの場合15%になります。しかし、以前は「グレーゾーン金利」というものがありました。
利息制限法に類似した法律として「出資法」があり、これも上限金利を規定しています。詳細は省きますが、利息制限法では規定された金利を超えた場合は無効となり、出資法では超過した場合に刑事罰が課されます。
かつては
法律 | 金利上限 |
---|---|
出資法 | 上限29.2% |
利息制限法 | 上限20% |
という数字になっていて、
両者に上限金利の違いがありました。この差の20%から29.2%の金利帯が「グレーゾーン金利」と呼ばれ、実質的に黙認されていたのです。利息制限法を超える金利は無効ですが、これは利用者が裁判などを起こさないと無効にして取り戻せません。
借入をこの範囲で結んでも、裁判を起こさなければ無効にはできなかったため、多くの借主が救済を受けられず、社会問題となりました。29.2%を超える金利は問答無用で刑事罰なので、ヤミ金融や反社会的勢力以外の貸し付けてこれを超えることは少なかったです。一方、利息制限法上限が20%でも上の表のように100万円以上は15%なので、実際には利息制限法と出資法で14.2%、つまり倍近い差がありました。
このグレーゾーン金利を悪用して、一部消費者金融は不当に高い金利を請求していました。それが原因で、利息を返せず自己破産に追い込まれる人、もっと悪質なヤミ金融を利用してしまう人などが出てきました。
以前行われていた過払い金請求は、専門の弁護士がグレーゾーン金利の支払い分を時効前に取り戻すものでした。現在では、利息制限法と出資法の上限金利は共に20%に統一されていますが、依然として高利で貸し付けたい業者の意図が透けて見える事例と言えるでしょう。
出資法の上限が29.2%→20%に下がり、利息制限法と同じになったのが、貸金業法と出資法が改正された2010年6月18日以降です。これにより「グレーゾーン金利」は撤廃されました。
「グレーゾーン金利」が存在した時期に20%を超える金利で融資を受けた場合、債務整理の段階で過払い金請求ができる可能性がありますので、心当たりのある方は弁護士に相談してください。過払い金請求で債務が相殺され、債務整理せずに済むかもしれません。
ただし、過払い金請求権には時効があります。時効は10年です。出資法改正により「グレーゾーン金利」がなくなってから14年以上経っています。理屈で行くと、もう過払い金請求できないのでは?と思われるかもしれません。実は過払い金請求できる条件があります。
- 最終取引から10年を超えていない
- 一度完済したが同じ業者から再び借り入れを行い、そこから10年経過していない
つまり、「グレーゾーン金利」で2010年以前に借入し、それ以降、利息制限法の金利内で新しくその会社から融資を受けて10年経っていない場合、2010年以前の「グレーゾーン金利」=「過払い分」についてはまだ請求できる可能性があります。
債務の返済が厳しいのが「グレーゾーン金利」にある場合、詳しいことを弁護士に相談してみてください。
債務整理のデメリット4選!債務整理したらどうなる?生活は?

債務整理を行うことで、法的な返済義務の一部ないし全部を免れることが可能になります。しかし、本来履行しなければならない債務を免れる「特例」を受けるわけですから、当然ペナルティを受けることになります。
それでも債務を履行できず、債権者から法的措置や訴訟を受けて負け、多くの財産(場合によっては全財産)失うことは避けたいはずです。それでも債務整理は、本来果たさなければならない義務を免じてもらうことなので、大きなデメリット、ペナルティを受けることになります。
- 信用情報機関に記録されていわゆるブラックリストに掲載される
- 自己破産したら生活に不要な不動産や車などが処分されてしまう
- 債務整理を行うと取引先の信用を失うなど社会的信用が低下する
- 債務整理で借金が免除されても連帯保証人は返済する義務がある
それぞれ順に解説します。
信用情報機関に記録されていわゆるブラックリストに掲載される
融資を受ける際、金融機関は信用情報機関からその人の過去の融資歴や返済履歴を受け取り審査に用います。過去に返済事故(返済遅延)を起こしていることだけでも大きなマイナスになります。あとは、銀行ではなく消費者金融からの借入をしていた場合です。
債務整理の履歴についても、信用情報に記載されます。債務整理歴が信用情報照会によってわかると、そのマイナス点は返済遅延や消費者金融とは比べ物になりません。借りたものを返さないどころか、借りたものを法的になかったことにするような人に「信用」はありません。「ブラックリスト」に掲載され、融資を受けることは不可能になります。
5~10年は住宅ローンやクレジットカードの新規契約が難しい
具体的には5年~10年は新規のローンを組むことができなくなります。信用情報に債務整理を受けたと記載されるのが5年~10年になります。信用情報から消えれば、審査の過程で債務整理の事実が分からなくなるので、理屈としては再び借りられることになります。クレジットカードも同様で、信用がない人がカードの審査に通ることはなくなります。
例えば「ブラックリスト」から消えるのが5年と仮定します。
2024年に「ブラックリスト」の載った場合、2029年にその事実が消え、2030年ならばローンの審査に通ったり、新規カードを作れたりします。
しかし、途中で2027年に申し込みをした場合、当然審査で落ちます。この「2027年に審査に落ちた」という履歴も信用情報に載るので、2030年に申し込みしても「2027年に審査に落ちた」という情報が照会され、「なぜなのか?」と金融機関やカード会社に疑問を持たれてしまいます。
つまり、完全に「ブラックリスト」から消えるまでは、何も新規のアクションを起こせないことになります。これは大きなデメリットになります。
自己破産したら生活に不要な不動産や車などが処分されてしまう
自己破産は債務整理の中でも一番大きなペナルティを受けます。生活に不可欠な最低限の住まいや動産以外はすべて差し押さえられ、競売によって現金化されてしまいます。
自己破産すると、家や先祖代々の土地や車までも差し押さえられる可能性があります。当然、ローンを受けられないので、購入もできなくなります。
自己破産すると処分されてしまうものは以下になります。
自己破産すると、次のような財産が処分(差し押さえ)の対象となります。
- 99万円を超える現金
- 20万円を超える預貯金や有価証券類
- 生命保険や個人年金の解約返戻金
- 土地や建物などの不動産(自宅含む)
- 自動車やバイクなど
- 株やFX、仮想通貨などの金融資産
- 貸付金や売掛金などの債権
- 貴金属やブランド品、骨董品など
- 退職金の一部
生活に必要な小口現金と最低限の住居や生活必需品のみで、人生再出発を図らなければならなくなります。
自己破産したら弁護士や税理士などの一部職業は活動に制限あり
自己破産して復権するまで(一定期間経つまで=おおよそ「ブラックリスト」から消える期間)、一定の職業として働くことができません。
犯罪者になったわけではないので、資格をはく奪されるのではなく、自己破産後、復権するまでその職業として働けないのです。
自己破産で活動が制限される主な仕事は以下になります(他にもあります)。
- 弁護士
- 司法書士
- 弁理士
- 行政書士
- 税理士
- 社会保険労務士
- 宅地建物取引士
- 不動産鑑定士
- 土地家屋調査士
- 建築士
- 警備員
- 生命保険募集人(保険の勧誘)
- 旅行業(登録)
- 貸金業
有名な「サムライ(士)資格」とお金を扱う仕事は自己破産によって制限されることになります。一方で、医師、歯科医師、看護師、薬剤師など医療系の「師」資格は制限されません。
債務整理を行うと取引先の信用を失うなど社会的信用が低下する
債務整理を行うと自己破産や個人再生は官報に掲示され公の知るところになります。そうでなくても、HPに掲載するなどの措置がコンプライアンス上必要になります。お金を貸している金融機関から情報が洩れることもあります。
債務整理を行った事業者の信頼はなくなります。モノを売っても払ってもらえる保証、信用がないので、取引先は取引を打ち切るか、減らしていくかもしれません。
倒産するよりはマシかもしれませんが、借金が減っても(免じられても)、本業の売上が大きく下がってしまう可能性があります。
債務整理で借金が免除されても連帯保証人は返済する義務がある
Aさんが債務者、Bさんが連帯保証人の場合、Aさんの借金について債務整理が行われたと仮定します。1000万円の借金をAさんがCさんに対して持っていて、Aさんが自己破産した場合Aさんは1000万円沿い払う債務がなくなります(不動産などを処分して)。
しかし、1000万円の債務が消えたわけではなく、CさんはAさんが払えないなら連帯保証人のBさんへ1000万円の支払いを請求する権利があります。請求された連帯保証人のBさんは拒めません。BさんはAさんに代わり1000万円を支払う義務があります。
これでBさんが支払いできなければBさんも債務整理することになります。「連帯保証人にはなるな!」と言われるのはこのようなことが起きるからなのです。
債務整理に関するよくある質問に回答!不安をここで解消しよう
債務整理について漠然とした不安を持つ方も多いかと存じます。そこで、4つ質問に答える形で不安点を解消しておきましょう。これも参考に債務整理するかどうか考えてください。
- 債務整理の費用はどのくらいかかりますか?分割は可能ですか?
- どうしても今の家に住みたいのですが住宅を残すことはできる?
- 債務整理の途中なのですがもし返済が滞ったらどうなりますか?
- 債務整理をすると家族に迷惑がかかりますか?家族への影響は?
債務整理の費用はどのくらいかかりますか?分割は可能ですか?
債務整理にかかる費用はその種類によって大きく変わります。以下の表を参考にしてください。
任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | 特定調停 | |
---|---|---|---|---|
手続きの費用 | 5~15万円程度(債権者1社あたり) | 50~90万円程度 | 50〜130万円程度 | 約1000円 |
費用は「弁護士費用」と「裁判所費用」に分かれます。任意整理は裁判所を通さない当事者間の交渉手続きのため、裁判所費用は発生しません。
弁護士(や司法書士:金額によっては司法書士も可能)に依頼する場合は、成功報酬(おおむね10%程度)もかかります。また、交渉する債権者数などにより、実費として数千円~1万円程度がかかる場合があります。
債務整理の費用が払えない場合でも、弁護士に依頼することは可能です(費用は後払い)。債務整理を依頼すると、最短即日で取り立てがストップするため、交渉や手続きが完了するまでは実質返済しなくてもよくなります。
費用の分割払いですが、弁護士費用については分割可能です。弁護士によるのですが、依頼前に分割可能か確認しておきましょう。基本的に「成功報酬」なので後払いです(着手金は先払いのことあり)。
裁判費用については債務整理申立費用は一括払いです。収入印紙を購入し提出、事務用の郵券は現物を買って納付します。展開によっては「破産管財人」(自己破産)、「個人再生委員」(個人再生)への報酬が数十万円単位で発生することがありますが、それも原則一括払いです。ただし、裁判所の判断で分割払いが認められることもあります。
また、法テラスの「民事法律扶助」という制度を利用すると、弁護士に債務整理を依頼する費用が非常に安くなります。生活保護を受けている方の場合、かかる費用は0円になります。
債務整理の費用 | 分割払いの可否 |
---|---|
弁護士費用(任意整理、個人再生、自己破産) | 分割払いOKの弁護士なら可能 |
裁判所の手続き(法定費用) | 収入印紙や切手で一括払い、分割払い不可 |
破産管財人や個人再生委員への報酬 | 分割払い不可、裁判所の判断で例外的に認められることも |
どうしても今の家に住みたいのですが住宅を残すことはできる?
債務整理の場合でも「任意整理」「個人再生」「特定調停」の場合は、今住んでいる家を残すことができます。しかし、「自己破産」の場合は持ち家の場合、差し押さえられ競売にかけられてしまいます。
自己破産後、手元に残せるのは
- 99万円までの現金
- 衣類や家具など、生活に最低限必要なもの(ただし、高額なものは処分の対象となる場合あり)
のみです。言うまでもなく持ち家の場合、土地建物合わせればこの基準を超えてしまいます。差し押さえから競売執行まで3か月くらいあるので、それまでに引っ越しをしなければなりません。
借家や賃貸マンションの場合、そのまま住み続けられますが、
- 家賃を滞納し続けている
- 収入に見合わない高級賃貸物件
- 保証会社に更新を断られる
場合は、賃貸物件を出て行かなければならなくなる可能性もあります。なお、破産法の改正で「賃借人が破産した場合に契約の解除を認める」契約はできなくなりました。自己破産したという理由で大家さんから「出ていけ」ということはないのでご安心ください。
なお、自己破産により売却した家の買主(不動産会社)と交渉し、その家に賃貸として住む「リースパック」という仕組みもあります。これは合法なので、どうしても手放した家に住みたい場合は、弁護士等に相談してみてください。
債務整理の途中なのですがもし返済が滞ったらどうなりますか?
基本的に債務整理によって条件変更しても、それを守らないので、債務整理しなかった場合のように、返済不能、債務不履行で相手から法的に訴えられ、自己破産の「防衛ライン」も突破、家や財産をすべて失う可能性が出てきます。
また、「返す余力があるのに意図的に返さない」と判断されれば、詐欺罪など刑事告発されるリスクもゼロではありません。
手続きの種類 | 返済が滞った場合 |
---|---|
任意整理の場合 | 債権者との合意に基づいて分割返済をしている途中で返済が滞ると、債権者との合意が無効になる可能性があります。この場合、元の借金の金額や利息が復活し、一括返済を求められることもあります。 |
個人再生の場合 | 裁判所の認可を受けた再生計画に基づいて返済を行っている場合、返済が滞ると再生計画が失効することがあります。その結果、債権者が強制執行などの手段を取ることが可能になり、財産の差し押さえなどが行われるリスクがあります。結果、再生計画以上に財産を失う可能性が出てきます。 |
自己破産の場合 | 自己破産の場合、そもそも返済義務がなくなるのですが、手続き中に不義理や虚偽申告などが見つかり、破産手続きが不許可となるような行為が見つかった場合、手続きが打ち切られる可能性があります。その場合は、手元の小口現金や生活必需品すら失うことになりかねません。 |
債務整理をすると家族に迷惑がかかりますか?家族への影響は?
いくつかのケースで家族に悪影響が出る可能性があります。
状況 | 家族への影響 |
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家族が保証人の場合 | 家族が保証人の場合、みなさんの債務は債務整理によって減免されますが、その支払いは保証人(連帯保証人)である家族へ行きます。家族がみなさんの債務を弁済することになり大変なことになります。 |
家族からお金を借りている場合 | 事業用資金などで家族からお金を借りている場合は、その返済義務(債務)も債務整理の対象になります(借りている場合。家族からもらっている場合は贈与税の対象)。裁判所に申立てをして進める「個人再生」や「自己破産」では、基本的にすべての債権者を手続きの対象とするので、家族から借金している場合は家族も債権者となり、事情を聞かれるなどされます。当然債務整理についてバレます。 |
持ち家や車がある場合 | 自己破産すると家や車を差し押さえられてしまいます。家や車が破産者名義の場合、それを失うため、家に住んでいて車に乗っている家族は甚大な影響を受けます。一緒に住み家も乗る車も失ってしまいます。自己破産以外の債務整理の場合は、そこまでの影響を受けませんが、信用情報に債務整理について記載されるため、新規の住宅ローンや自動車ローンが組めなくなります。そうなると家族の生活への影響も非常に大きくなります。 |