飲食店の廃業手続きでやることは?流れや必要書類を詳しく解説

飲食店の廃業手続きでやることは?流れや必要書類を詳しく解説

飲食店を経営していたものの、業績が芳しくない場合、飲食店を廃業する決断をしなければなりません。

飲食店については様々な手続きを経て開業しおり、廃業する場合にも同様に様々な手続きをしなければなりません。

飲食店を廃業する場合にはどのような手続きが必要となるのでしょうか。

本記事では、飲食店の廃業手続きについてお伝えします。

飲食店の廃業手続きの流れは?各行政機関に必要な届出

飲食店の廃業手続きの流れは?

飲食店の廃業手続きの流れは次の通りです。

  1. 借入をしている金融機関への連絡
  2. 取引先などの関係各所への連絡
  3. 行政機関への廃業に関する届出を行う
  4. 物件の原状回復工事
  5. ガス・水道・電気などの解約

まず、手続きの中核となる行政機関への届出について確認しましょう。

保健所

飲食店を営業する際には、飲食店営業許可を保健所から取得しています。

そのため、飲食店を廃業する場合には、保健所に廃業届を提出します。

廃業届は、市区町村や保健所のホームページでダウンロードが可能です。

参考:食品営業許可・営業届出|東京都港区

廃業届の提出は、廃業してから10日以内に行うのが基本ですが、詳しくは管轄の市区町村・保健所に確認してください。

この時に取得した営業許可証を返却する必要があります。

営業許可証を紛失している場合は、再発行の手続きをしてから返却する・廃業届で対応をしてくれる、など対応は保健所によって異なるので、こちらも確認するようにしましょう。

電子手続きでの手続きが可能かも保健所によって異なります。

税務署

個人事業主として開業届を出している場合、個人事業の廃業届出書の提出が必要です。

個人事業の廃業届出書は、e-Taxで届出書を作成し、e-Taxにより提出するのが通常ですが、届出書を作成して持参・郵送もできます。

また、従業員を雇用している場合は、給与支払事務所等の廃止届出書を提出します。

さらに、消費税の課税事業者である場合は、消費税の事業廃止届出書の提出も必要です。

青色申告で確定申告を行っている場合は、廃業する年の翌年の3月15日までに廃業届を提出します。

届出をしないと追徴課税となるケースもあるので注意しましょう。

消防署

飲食店の営業をするにたって、消防署に防火管理者選任届をします。

そのため、廃業する場合には「防火管理者選任(解任)届出書」を提出する必要があります。

防火管理者選任(解任)届出書は、消防庁のホームページからダウンロード可能です。

参考:防火・防災管理者選任(解任)届出書 / 消防計画作成(変更)届出書|東京消防庁

申請書は持参・郵送で提出が可能な他、電子申請も利用が可能です。

警察署

深夜以降に酒類を提供する場合には、深夜酒類提供飲食店営業開始の届出を警察署に対して行っています。

そのため、廃業日から10日以内廃止届出書を提出しなければなりません。

廃止届出書は所轄の警察署や警察のホームページで取得が可能です。

参考:深夜酒類提供飲食店営業(様式一覧)|警視庁

また、風俗営業をするためには許可が必要です。

そのため、廃業した場合には、警察署に廃止届出書廃業日から10日以内に提出します。

保持している風俗営業許可証は、返納理由書とともに所轄の警察署に返納します。

返納しない場合30万円の罰金に処せられる場合があるので注意しましょう。

廃止届出書は同じく所轄の警察署や警察のホームページで取得が可能です。

参考:廃止届出書(様式一覧)|警視庁

公共職業安定所(ハローワーク)

従業員を雇用しており雇用保険に加入していた場合には、雇用保険に関する手続きが必要です。

提出する書類は次の3種類です。

  • 雇用保険適用事業所廃止届
  • 雇用保険被保険者資格喪失届
  • 雇用保険被保険者離職証明書

書類は、公共職業安定所(ハローワーク)で取得できるほか、公共職業安定所のホームページでダウンロードが可能です。

これらの書類も廃業から10日以内に行います。

もっとも、後述する年金事務所に提出する健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届の添付書類として雇用保険適用事業所廃止届のコピーが必要です。

健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届廃業から5日で行う必要があるので、それ以前に終わっている必要があります。

日本年金機構(年金事務所)

従業員が健康保険・厚生年金に加入していた場合、健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届を提出します。

次の書類を同時に提出する必要があります。

  • 解散登記の記入がある法人登記簿謄本のコピー
  • 雇用保険適用事業所廃止届(事業主控)のコピー

この手続きは廃業日から5日以内で行う必要があり、非常に期間が短いので注意しましょう。

労働基準監督署

労働者を雇用しており、雇用保険、労災保険のいずれかの労働保険に加入している場合、労働保険確定保険料申告書の提出が必要です。

労働保険確定保険料申告書の提出は事業の廃止又は終了の日から50日以内に行います。

申告書は所轄の労働基準監督署・労働局で取得できるほか、労働局のホームページで年度毎に作成するための支援ツールが公開されるので、これを用いて作成します。

提出は労働基準監督署・労働局・日本銀行(代理店も含む)に持参・郵送ができます。

関係各所への対応や手続きなどやること一覧

飲食店の廃業にあたって、営業に関係のある各所への対応・手続きとしては次のものが挙げられます。

金融機関に連絡して借入れがあれば相談

金融機関に連絡をします。

もし経営を継続したい場合には、廃業するかどうかを金融機関に相談すれば、追加の融資を受けられる可能性もあるので、廃業したくない場合には銀行に相談してみましょう。

個人で借り入れをしている分や、株式会社にしている場合で借り入れ金を代表者個人が保証をしている場合、返済する必要があります。

そのため、返済についての相談、破産手続きを利用するなどの処理が必要となるので注意しましょう。

従業員への廃業の通知

従業員に廃業の通知をします。

廃業する場合、従業員を解雇する必要があります。

従業員の解雇について、労働基準法には次のようなルールが定められています。

  • 30日前までの解雇予告
  • 解雇予告金の支払い

解雇予告金の支払いにはお金がかかりますので、通常は30日前までに廃業を理由とする解雇の通知を従業員に行います。

従業員の再就職の準備などの観点から、廃業が確定した段階で通知するのが良いでしょう。

不動産管理会社へテナント解約の通知

不動産管理会社へテナント解約の通知を行います。

物件の借り入れ時の契約内容によって、廃業する際にどれくらい前から通知しなければならないかは異なるので、契約内容をよく確認しましょう。

不動産管理会社に通知した後は、原状回復工事や、物件の引き継ぎについて協議を行う必要があります。

仕入れ先などの取引先に廃業を連絡

仕入れ先など取引先に廃業の連絡をします。

仕入れ先とは継続しての契約となっている場合も多く、廃業する場合の仕入れについては値段が変わる可能性もあります。

そのため、当初の仕入れに関する契約をよく確認しつつ、廃業までのスケジュールを伝えて、いつまで仕入れをしてもらうか、仕入れ条件に変更があるかなどを確認しましょう。

リース会社との契約を精算

リース契約をしている場合、リース会社との契約を清算します。

ビールサ―バーや、おしぼりウォーマーなどをリースしている場合、その所有権はリース会社にあるので、返却しなければなりません。

また、リースの解約によって、残債務を清算する必要があります。

リースしているものの所有権はリース会社にあるので、これを勝手にリサイクルショップなどに売却しないよう注意しましょう。

電気・ガス・水道などの解約

電気・ガス・水道などの解約のための通知を行います。

電気・ガス・水道などは、店舗の引き渡しを行う最後まで使用します。

立ち合いが必要なものもあるので、契約している会社に連絡して、立ち合い日時を確認しましょう。

店舗総合保険などの解約

店舗で営業をする際の損害に備えた保険である店舗総合保険や、地震に備えた地震保険に加入している場合、これを解約する必要があります。

契約内容によって、未払保険料が発生しているケースもあり、この場合は未払い保険料を清算する必要があります。

その他解約にあたっての必要事項については、保険契約の契約書をよく確認し、保険会社と相談します。

ゴミ回収業者の解約

ゴミ回収業者との契約を解約します。

廃業のスケジュールに合わせるのが通常ですが、廃業後にゆっくり片づけを行う場合には、ゴミ回収業者との契約を継続するケースもあります。

廃業するときには、ゴミ回収業者が回収できないゴミもある場合があるので、回収できるゴミ、事前に相談が必要なゴミ、回収できないゴミなどの種類についても相談しておきましょう。

お世話になったお客様に廃業を連絡

店舗での張り紙やSNSなどを利用して、お客様に廃業をお知らせします。

特に常連やお世話になったお客様にはしっかりと感謝の意を伝えましょう。

別の店を開業する予定がある場合など、今後も良い関係を持っておくに越したことはありません。

廃業届と各種届出の一覧と提出期限

廃業届および各種届出を、提出期限ごとに一覧で確認しましょう。

速やかに提出しなければならない届出の一覧

届出書提出先
防火管理者選任(解任)届出書消防署
事業廃止届出書税務署

廃業日から5日以内に提出しなければならない届出の一覧

届出書提出先
健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届年金事務所

廃業日から10日以内に提出しなければならない届出の一覧

届出書提出先
廃業届保健所
風俗営業許可書の返納の際に求められる風俗営業の返納理由書警察署
深夜酒類提供飲食店営業の廃止届出書警察署

廃業日の翌日から10日以内に提出しなければならない届出の一覧

届出書提出先
雇用保険適用事業所廃止届公共職業安定所
※健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届の添付書類としてコピーが必要で事実上5日で提出が必要
雇用保険被保険者資格喪失届公共職業安定所
雇用保険被保険者離職証明書公共職業安定所

廃業日から1ヶ月以内に提出しなければならない届出の一覧

届出書提出先
個人事業の開業・廃業等届出書税務署
廃業届税事務所
給与支払い事務所等の開設・移転・廃止届出書税務署

事業の廃止又は終了の日から50日以内に提出しなければならない届出の一覧

届出書提出先
労働保険確定保険料申告書労働基準監督署

翌年の3月15日に提出しなければならない届出の一覧

届出書提出先
所得税の青色申告の取りやめ届出書税務署

株式会社で飲食店を営んでいる場合の廃業

株式会社を設立して飲食店を営んでいる場合、廃業には次の手続きも必要です。

解散手続

飲食店を廃業するにあたって、設立した株式会社を消滅させる手続きを行います。

そのために最初に行うのが、会社の解散手続きです。

会社の解散は次のような流れで行います。

  1. 株式会社の解散の決議および株主総会の決議で清算人を選任する
  2. 清算人の選任決議後2週間以内に法人の解散と清算人の選任登記の申請を行う
  3. 解散公告を行う
  4. 債権者への催告手続きを実施する
  5. 解散時の財産目録と貸借対照表を作成して株主総会の決議によって承認を受ける
  6. 解散後2ヵ月以内に解散確定申告を行う

これら一連の手続きによって株式会社は解散します。

清算手続

株式会社の解散が終わると、会社が保有していた財産を債権者や株主に配当するための、清算手続きが行われます。

会社法所定の手続きに従って会社財産を換価して、債権者に配当し、残余財産を株主に配当します。

清算が結了するまでの流れは次の通りです。

  1. 決算報告書を作成
  2. 決算報告書を株主総会の決議で承認する
  3. 2週間以内に清算結了登記を行う
  4. 都道府県税事務所・税務署・市区町村の役所へ清算結了の届出

これらが終わると、法人は消滅します。

法人破産・特別清算

飲食店の廃業をしなければならない事態に陥っている場合、通常は多額の債務が発生しており、会社財産では返済しきれない債務超過の状態に陥っているでしょう。

このような場合に法人を廃業する場合、残った法人資産と債権者の調整を行うために、法人破産・特別清算を行います。

運転資金の捻出のために会社の代表者が個人で借金をしている場合や、法人の債務について代表者が連帯保証をしている場合が多く、法人の代表者もこの手続きで自己破産を行い債務の免責も同時に行います。

飲食店の廃業手続きでやることは?流れや必要書類を詳しく解説

飲食店の廃業手続きでやることは?流れや必要書類を詳しく解説

飲食店を経営していたものの、業績が芳しくない場合、飲食店を廃業する決断をしなければなりません。

飲食店については様々な手続きを経て開業しおり、廃業する場合にも同様に様々な手続きをしなければなりません。

飲食店を廃業する場合にはどのような手続きが必要となるのでしょうか。

本記事では、飲食店の廃業手続きについてお伝えします。

飲食店の廃業手続きの流れは?各行政機関に必要な届出

飲食店の廃業手続きの流れは?

飲食店の廃業手続きの流れは次の通りです。

  1. 借入をしている金融機関への連絡
  2. 取引先などの関係各所への連絡
  3. 行政機関への廃業に関する届出を行う
  4. 物件の原状回復工事
  5. ガス・水道・電気などの解約

まず、手続きの中核となる行政機関への届出について確認しましょう。

保健所

飲食店を営業する際には、飲食店営業許可を保健所から取得しています。

そのため、飲食店を廃業する場合には、保健所に廃業届を提出します。

廃業届は、市区町村や保健所のホームページでダウンロードが可能です。

参考:食品営業許可・営業届出|東京都港区

廃業届の提出は、廃業してから10日以内に行うのが基本ですが、詳しくは管轄の市区町村・保健所に確認してください。

この時に取得した営業許可証を返却する必要があります。

営業許可証を紛失している場合は、再発行の手続きをしてから返却する・廃業届で対応をしてくれる、など対応は保健所によって異なるので、こちらも確認するようにしましょう。

電子手続きでの手続きが可能かも保健所によって異なります。

税務署

個人事業主として開業届を出している場合、個人事業の廃業届出書の提出が必要です。

個人事業の廃業届出書は、e-Taxで届出書を作成し、e-Taxにより提出するのが通常ですが、届出書を作成して持参・郵送もできます。

また、従業員を雇用している場合は、給与支払事務所等の廃止届出書を提出します。

さらに、消費税の課税事業者である場合は、消費税の事業廃止届出書の提出も必要です。

青色申告で確定申告を行っている場合は、廃業する年の翌年の3月15日までに廃業届を提出します。

届出をしないと追徴課税となるケースもあるので注意しましょう。

消防署

飲食店の営業をするにたって、消防署に防火管理者選任届をします。

そのため、廃業する場合には「防火管理者選任(解任)届出書」を提出する必要があります。

防火管理者選任(解任)届出書は、消防庁のホームページからダウンロード可能です。

参考:防火・防災管理者選任(解任)届出書 / 消防計画作成(変更)届出書|東京消防庁

申請書は持参・郵送で提出が可能な他、電子申請も利用が可能です。

警察署

深夜以降に酒類を提供する場合には、深夜酒類提供飲食店営業開始の届出を警察署に対して行っています。

そのため、廃業日から10日以内廃止届出書を提出しなければなりません。

廃止届出書は所轄の警察署や警察のホームページで取得が可能です。

参考:深夜酒類提供飲食店営業(様式一覧)|警視庁

また、風俗営業をするためには許可が必要です。

そのため、廃業した場合には、警察署に廃止届出書廃業日から10日以内に提出します。

保持している風俗営業許可証は、返納理由書とともに所轄の警察署に返納します。

返納しない場合30万円の罰金に処せられる場合があるので注意しましょう。

廃止届出書は同じく所轄の警察署や警察のホームページで取得が可能です。

参考:廃止届出書(様式一覧)|警視庁

公共職業安定所(ハローワーク)

従業員を雇用しており雇用保険に加入していた場合には、雇用保険に関する手続きが必要です。

提出する書類は次の3種類です。

  • 雇用保険適用事業所廃止届
  • 雇用保険被保険者資格喪失届
  • 雇用保険被保険者離職証明書

書類は、公共職業安定所(ハローワーク)で取得できるほか、公共職業安定所のホームページでダウンロードが可能です。

これらの書類も廃業から10日以内に行います。

もっとも、後述する年金事務所に提出する健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届の添付書類として雇用保険適用事業所廃止届のコピーが必要です。

健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届廃業から5日で行う必要があるので、それ以前に終わっている必要があります。

日本年金機構(年金事務所)

従業員が健康保険・厚生年金に加入していた場合、健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届を提出します。

次の書類を同時に提出する必要があります。

  • 解散登記の記入がある法人登記簿謄本のコピー
  • 雇用保険適用事業所廃止届(事業主控)のコピー

この手続きは廃業日から5日以内で行う必要があり、非常に期間が短いので注意しましょう。

労働基準監督署

労働者を雇用しており、雇用保険、労災保険のいずれかの労働保険に加入している場合、労働保険確定保険料申告書の提出が必要です。

労働保険確定保険料申告書の提出は事業の廃止又は終了の日から50日以内に行います。

申告書は所轄の労働基準監督署・労働局で取得できるほか、労働局のホームページで年度毎に作成するための支援ツールが公開されるので、これを用いて作成します。

提出は労働基準監督署・労働局・日本銀行(代理店も含む)に持参・郵送ができます。

関係各所への対応や手続きなどやること一覧

飲食店の廃業にあたって、営業に関係のある各所への対応・手続きとしては次のものが挙げられます。

金融機関に連絡して借入れがあれば相談

金融機関に連絡をします。

もし経営を継続したい場合には、廃業するかどうかを金融機関に相談すれば、追加の融資を受けられる可能性もあるので、廃業したくない場合には銀行に相談してみましょう。

個人で借り入れをしている分や、株式会社にしている場合で借り入れ金を代表者個人が保証をしている場合、返済する必要があります。

そのため、返済についての相談、破産手続きを利用するなどの処理が必要となるので注意しましょう。

従業員への廃業の通知

従業員に廃業の通知をします。

廃業する場合、従業員を解雇する必要があります。

従業員の解雇について、労働基準法には次のようなルールが定められています。

  • 30日前までの解雇予告
  • 解雇予告金の支払い

解雇予告金の支払いにはお金がかかりますので、通常は30日前までに廃業を理由とする解雇の通知を従業員に行います。

従業員の再就職の準備などの観点から、廃業が確定した段階で通知するのが良いでしょう。

不動産管理会社へテナント解約の通知

不動産管理会社へテナント解約の通知を行います。

物件の借り入れ時の契約内容によって、廃業する際にどれくらい前から通知しなければならないかは異なるので、契約内容をよく確認しましょう。

不動産管理会社に通知した後は、原状回復工事や、物件の引き継ぎについて協議を行う必要があります。

仕入れ先などの取引先に廃業を連絡

仕入れ先など取引先に廃業の連絡をします。

仕入れ先とは継続しての契約となっている場合も多く、廃業する場合の仕入れについては値段が変わる可能性もあります。

そのため、当初の仕入れに関する契約をよく確認しつつ、廃業までのスケジュールを伝えて、いつまで仕入れをしてもらうか、仕入れ条件に変更があるかなどを確認しましょう。

リース会社との契約を精算

リース契約をしている場合、リース会社との契約を清算します。

ビールサ―バーや、おしぼりウォーマーなどをリースしている場合、その所有権はリース会社にあるので、返却しなければなりません。

また、リースの解約によって、残債務を清算する必要があります。

リースしているものの所有権はリース会社にあるので、これを勝手にリサイクルショップなどに売却しないよう注意しましょう。

電気・ガス・水道などの解約

電気・ガス・水道などの解約のための通知を行います。

電気・ガス・水道などは、店舗の引き渡しを行う最後まで使用します。

立ち合いが必要なものもあるので、契約している会社に連絡して、立ち合い日時を確認しましょう。

店舗総合保険などの解約

店舗で営業をする際の損害に備えた保険である店舗総合保険や、地震に備えた地震保険に加入している場合、これを解約する必要があります。

契約内容によって、未払保険料が発生しているケースもあり、この場合は未払い保険料を清算する必要があります。

その他解約にあたっての必要事項については、保険契約の契約書をよく確認し、保険会社と相談します。

ゴミ回収業者の解約

ゴミ回収業者との契約を解約します。

廃業のスケジュールに合わせるのが通常ですが、廃業後にゆっくり片づけを行う場合には、ゴミ回収業者との契約を継続するケースもあります。

廃業するときには、ゴミ回収業者が回収できないゴミもある場合があるので、回収できるゴミ、事前に相談が必要なゴミ、回収できないゴミなどの種類についても相談しておきましょう。

お世話になったお客様に廃業を連絡

店舗での張り紙やSNSなどを利用して、お客様に廃業をお知らせします。

特に常連やお世話になったお客様にはしっかりと感謝の意を伝えましょう。

別の店を開業する予定がある場合など、今後も良い関係を持っておくに越したことはありません。

廃業届と各種届出の一覧と提出期限

廃業届および各種届出を、提出期限ごとに一覧で確認しましょう。

速やかに提出しなければならない届出の一覧

届出書提出先
防火管理者選任(解任)届出書消防署
事業廃止届出書税務署

廃業日から5日以内に提出しなければならない届出の一覧

届出書提出先
健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届年金事務所

廃業日から10日以内に提出しなければならない届出の一覧

届出書提出先
廃業届保健所
風俗営業許可書の返納の際に求められる風俗営業の返納理由書警察署
深夜酒類提供飲食店営業の廃止届出書警察署

廃業日の翌日から10日以内に提出しなければならない届出の一覧

届出書提出先
雇用保険適用事業所廃止届公共職業安定所
※健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届の添付書類としてコピーが必要で事実上5日で提出が必要
雇用保険被保険者資格喪失届公共職業安定所
雇用保険被保険者離職証明書公共職業安定所

廃業日から1ヶ月以内に提出しなければならない届出の一覧

届出書提出先
個人事業の開業・廃業等届出書税務署
廃業届税事務所
給与支払い事務所等の開設・移転・廃止届出書税務署

事業の廃止又は終了の日から50日以内に提出しなければならない届出の一覧

届出書提出先
労働保険確定保険料申告書労働基準監督署

翌年の3月15日に提出しなければならない届出の一覧

届出書提出先
所得税の青色申告の取りやめ届出書税務署

株式会社で飲食店を営んでいる場合の廃業

株式会社を設立して飲食店を営んでいる場合、廃業には次の手続きも必要です。

解散手続

飲食店を廃業するにあたって、設立した株式会社を消滅させる手続きを行います。

そのために最初に行うのが、会社の解散手続きです。

会社の解散は次のような流れで行います。

  1. 株式会社の解散の決議および株主総会の決議で清算人を選任する
  2. 清算人の選任決議後2週間以内に法人の解散と清算人の選任登記の申請を行う
  3. 解散公告を行う
  4. 債権者への催告手続きを実施する
  5. 解散時の財産目録と貸借対照表を作成して株主総会の決議によって承認を受ける
  6. 解散後2ヵ月以内に解散確定申告を行う

これら一連の手続きによって株式会社は解散します。

清算手続

株式会社の解散が終わると、会社が保有していた財産を債権者や株主に配当するための、清算手続きが行われます。

会社法所定の手続きに従って会社財産を換価して、債権者に配当し、残余財産を株主に配当します。

清算が結了するまでの流れは次の通りです。

  1. 決算報告書を作成
  2. 決算報告書を株主総会の決議で承認する
  3. 2週間以内に清算結了登記を行う
  4. 都道府県税事務所・税務署・市区町村の役所へ清算結了の届出

これらが終わると、法人は消滅します。

法人破産・特別清算

飲食店の廃業をしなければならない事態に陥っている場合、通常は多額の債務が発生しており、会社財産では返済しきれない債務超過の状態に陥っているでしょう。

このような場合に法人を廃業する場合、残った法人資産と債権者の調整を行うために、法人破産・特別清算を行います。

運転資金の捻出のために会社の代表者が個人で借金をしている場合や、法人の債務について代表者が連帯保証をしている場合が多く、法人の代表者もこの手続きで自己破産を行い債務の免責も同時に行います。