自己破産の流れや期間をケースごとに徹底解説

自己破産の流れや期間をケースごとに徹底解説

自己破産は、借金の返済が困難になった際に利用できる法的手続きであり、債務者の経済的再出発を支援するものです。

自己破産を考えているものの、手続きがどういう流れになるのか、どのくらいの期間がかかるか疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

実際には、自己破産の申し立てから免責決定が確定するまで綿密な準備が必要となる場合もあり、このような準備の開始から数ヶ月から1年以上かかることもあるのです。

この記事では、自己破産の基本的な手続きの流れとその期間についてケースごとに詳しく解説します。自己破産を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

自己破産を弁護士に相談してから、最終的に手続きが終了して債務がゼロになるまでの流れは、以下の図のとおりです。

自己破産開始までの流れを詳しく解説

自己破産開始とは、破産者について破産手続きを開始する旨を裁判所が決定することです。

弁護士に相談してから自己破産開始決定まで、早くても2、3ヶ月、債権者が多かったり財務調査に時間がかかったりする場合は1年以上かかることもあります。

自己破産の開始と同時に手続が終了し、その後免責を許可されるという場合もありますが(後述する同時廃止のケース)、所有財産の換価等の処理が必要となる場合には管財人が選任されます。この場合、破産者が持っている一定の財産について、その管理と処分をする権利が裁判所から選任された破産管財人に移転します。

なお、破産の債権者は破産手続きによらない権利行使が法律上禁止されますので、破産開始決定を受けた場合には債権者から破産者に対する直接の連絡はされなくなるのが通常です(実際には弁護士が介入したタイミングで破産債権者からの連絡はストップすることがほとんどでしょう)。

自己破産開始までの流れは以下のとおりです。

  • 早めに弁護士に相談する
  • 弁護士が金利の引き直し計算をして債務額を確定(過払い金がある場合)
  • 弁護士と一緒に申立書類を準備する
  • 弁護士が裁判所に自己破産の申立てをする
  • 裁判所が申立て書類の審査をする
  • 裁判所が破産手続きの審査の決定

スムーズに手続きを進めるために、依頼者も手続きのプロセスを把握しておく必要があります。

【破産管財人とは】
破産法の破産手続きにおいて破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利を有する者をいう(破産法第2条第12項)。
破産手続きの開始決定と同時に裁判所が選任。通常は事件関係者と利害関係のない弁護士が選ばれる。破産者の債務確定、破産者の資産の管理や処分、破産原因調査、債権者集会での報告、各債権者への配当手続きが主な業務内容。
参考:破産法第15条

同時廃止と少額管財どちらに該当する?期間は?

自己破産の手続には、配当に回す財産がない場合の「同時廃止」と破産管財人が選定される「管財事件」とがあります。

同時廃止とは、配当に回せる財産が存在せず、かつ、債務が膨らんだ経緯に大きな問題がない場合に認められる自己破産手続きのことです。

同時廃止なら、破産管財人が選任されず、破産手続き開始と同時に手続が終了します(破産法216条第1項)。その後、所定の手続を経て免責が許可されるという流れです。個人の破産申請の場合、同時廃止となるケースが7割近くを占めます。

さらに、管財事件には小規模で簡易な「少額管財」と大規模で複雑な「通常管財」の2つがあります。個人の破産手続における管財事件はほとんどが少額管財です。

ただし、少額管財は申立人の財産が一定額以下で免責不許可事由がないこと、弁護士が代理人となっていることが要件です。また、少額管財を採用していない裁判所もあるので確認が必要です。

同時廃止と少額管財では、申立後の手続の流れや手続終了までにかかる期間が異なります。
裁判所に申立てをしてから免責許可の確定までの期間は、それぞれ以下のとおりです。

手続の種類自己破産の申立てをしてから免責許可の確定までの期間
同時廃止事件約2ヶ月~3ヶ月前後
少額管財事件約3ヶ月~半年前後

免責許可が出ると官報にその旨掲載されます。官報掲載から2週間以内に債権者からの不服申立がなければ、免責許可決定が確定します。

なお、同時廃止・少額管財のどちらの手続になるかは、裁判所の判断で決まります。

参考:司法統計令和2年第108表 破産既済事件数

同時廃止事件は約2~3ヶ月かかる

同時廃止」は、破産手続きの開始と同時に破産手続きを終了するものです。

債務者の財産額が20万円未満(現金資産のみの場合は33万円未満)で、破産管財人を選任する必要がない場合に適用されます。この場合、最も手続き期間が短く裁判所への申し立てから免責許可の確定まで通常2ヶ月から3ヶ月で完了します。

債務者が裁判所に自己破産を申立てた後、裁判所が債務者の財産や負債状況を確認し、問題がなければ破産手続開始決定を出して手続は終了します。手続終了後に所定の手続を経て免責許可の決定が下され、一定期間の経過によりこれが確定します。

ただし、ギャンブルによる浪費や財産隠しなどの「免責不許可事由」があるときは、管財事件に切り替えられるケースもあります

最終的に免責を許可するかは裁判所の判断に任されているのです。たとえば、ギャンブルによる借金でも、正直に申告し現在は止めて真面目に生活を営んでいれば、裁判所の判断で免責が許可される可能性は十分あります。

【免責不許可事由とは】
破産手続によっても債務を免除できない原因として法律に定められた事由です。たとえば以下の事例が当たります。

・浪費、ギャンブルによる借金である
・債権者の一部に不公平な弁済をしている
・破産者の財産を不当に毀損して価値を減少させている
・破産者の財産を隠匿したり、偽るなどしている
・過去7年以内に免責決定を受けている

参考:破産法第252条

少額管財事件は約3ヶ月~半年前後かかる

「少額管財」の場合、裁判所に申し立てをしてから免責許可が確定するまで約3ヶ月~半年前後かかります。

少額管財事件では、裁判所が管財人を選任し管財人が債務者の財産を調査・管理しますが、通常の管財手続きよりも簡略化されているため、手続きが相対的にスピーディーです。

具体的には、破産者が裁判所に自己破産を申立てた後に管財人が財産の調査を行い、問題がなければ裁判所が破産手続開始決定を出します。その後、債権者集会を経て免責許可の決定が下されたら手続きが終了します。

少額管財事件は、財産がある場合でも通常管財より短期間で手続きを終えられるのが特徴です。

早めに弁護士に相談する

破産手続きは、用意する書類も多く、申し立てまでの手続きに時間がかかります。迅速に進めるためには、まず早めに弁護士に相談することが重要です。

弁護士は債務者の財産状況や負債内容を詳しく分析し、同時廃止か少額管財かの方針を決定します。

方針が決まったら、弁護士と委任契約を結びます。委任契約を結んだ時点で、弁護士から債権者に受任通知がFAXや郵送の形で送られます。

債権者への受任通知が到達した時点で、債権者から依頼者への催促、取り立てはなくなります

弁護士に早めに相談することで、方針を迅速に決定することができ、必要な書類の準備がスムーズに行われます。迷っているより早期の相談をすることで、事態の解決につなげることができるでしょう。

【自己破産手続きにおける受任通知とは】

弁護士が依頼者の代理人に就任したことを債権者に知らせ、以後の連絡は弁護士になることを通知する文書のことです。

依頼者への直接連絡や取り立てをストップするよう要求し、返済停止の旨及び取引履歴の開示依頼の請求も同時に行います。受任通知が届いた時点で、貸金業者は直接の取り立てをすることができません。

参考:貸金業法第21条第1項

初回無料相談を活用して相性をチェック

自己破産を検討する際、初回無料相談を活用することは非常に有益です。法律事務所や司法書士事務所では、初回無料で相談を受け付けているところが多く、これを活用することで、専門家との相性や信頼性を確認できます

自己破産の手続きは複雑で、スムーズに手続きを進めるためには専門的な知識と経験が必要です。

借金問題で専門家に相談することに引け目を感じたり、自己破産にかかる費用が心配になる方もいるでしょう。

初回無料相談を活用して、自分に合った専門家を見つけ、納得のいく手続きを進めることが大切です。

弁護士が金利の引き直し計算をして債務額を確定

消費者金融やカードローンなどの借金は、過去、利息制限法に定められた上限金利を超えていることがほとんどであり、古くから借入と返済を繰り返してきた場合、利息を払いすぎているケースがあります。これを「過払い金」といいます。

過払い金が疑われるケースでは、弁護士が貸金業者から取引履歴を取り寄せ、これに基づいて利息制限法に基づく正当な金利での引き直し計算を行うことで過払い金の存在を確認することになります。

過払い金と破産手続は全く関係がありませんが、もし過払い金があれば債務の圧縮に繋がります。

弁護士と一緒に申立書類を準備する

自己破産を申請する際には、膨大な量の書類を準備する必要がありますが、弁護士と一緒に準備することでスムーズに手続きが進みます。

弁護士は、申立てに必要な書類のリストを提示し、収集方法や記載内容について具体的に指示します。

また、弁護士が法的要件や書類の不備を事前にチェックすることにより、提出後のトラブルを防ぎます。

裁判所に書類を提出後、提出した書類と客観的な資料との間にズレがあると、裁判所の指摘を受け、不利な判断をされかねません。弁護士はそうならないように依頼者と入念に打ち合わせをするので、依頼者も正直に実情を述べることが重要です。

必要な申立書類の主な一覧

自己破産手続きの申立に必要な書類は以下のとおりです。

必要書類概要
破産・免責申立書破産・免責手続を利用したい旨を書いた書類
債権者一覧表債権者の名前、住所、債務の内容、残額などを書いた一覧表
住民票本籍が省略されていないもの
財産目録預金通帳写し、車、保険、退職金など
収入状況が分かる書面源泉徴収票または課税(非課税)証明書
その他裁判所から指示される書類事案によって、求められる書類
申立費用申立手数料1,500円(収入印紙)、裁判所が定める額の手続き費用や郵便切手

※各種書類は,マイナンバーの記載がないものを提出してください。
※添付書類や手続き費用の額などについては、事案によって異なります。

申立先は原則として債務者の住所地を管轄する地方裁判所です。

参考:最高裁判所/破産手続きQ&A

弁護士が裁判所へ申立てをする

弁護士は、依頼者が集めた書類や面談をもとに破産申立書類を作成します。

作成後、必要書類とともに依頼者の住所地を管轄する地方裁判所又はその支部に申し立て書類を提出します。

※東京地方裁判所では、弁護士が代理人となっている場合に限り、破産申立て当日に弁護士が裁判官と面接する即日面接が採用されています。即日面接とは、その場で同時廃止にするか管財事件にするか決定できる取り扱いです。

自己破産手続きの際、官報掲載料、破産管財人費用として予納金を支払う必要があります。

  • 管財事案 20万円~(事案の内容によって増減します。)
  • 同時廃止事案 約12,000円~

※予納金の支払時期、金額は各地方裁判所により多少異なります。

参考:裁判所/よくある質問

裁判所が申立書類の審査をする

裁判所は、申立て書類の内容や提出された証拠に基づいて、手続開始の要件が充足されているか、同時廃止と管財事件のいずれにすべきか等を判断します。また、提出した書類や資料に不備があれば追完を求められることもあります。

裁判所が破産手続き開始の決定

裁判所は破産事由があると認める場合、破産手続きの開始を決定します。

破産手続の開始が決定されると破産者の名前と住所が官報に掲載されます。官報に掲載されることで誰でも閲覧可能ですが、実際に官報をチェックしている人は金融機関関係者など一部の方ですので、官報から直接身近な人に知られる恐れはあまりないでしょう。

なお、破産者が一定の財産を持っていないことが明らかで、かつ免責不許可事由もないような場合は、同時廃止事件として破産手続き開始と同時に破産手続きが終了します。他方、破産者が一定の財産を持っていたり免責不許可事由があったりすると破産管財人が調査する管財事件になります。

【官報とは】
日刊の政府の機関誌というべきもので、独立行政法人国立印刷局が印刷・発行している。官報には、各省庁の公告、裁判所の公告、地方公共団体の公告、会社の公告なども掲載。
参考:参議院法制局

同時廃止事件となった場合の流れを詳しく解説

同時廃止事件となった場合は、裁判所の破産手続き開始の決定と同時に破産手続きが終了します。

破産手続きの廃止が決定すると、官報に同時廃止となったことも掲載されます。この際に免責についての意見申述の期間が設けられてこれも併せて掲載されます。

その後、裁判所による免責審尋(免責してよいかについて裁判所が破産者に事実確認等を行う手続)が実施され、裁判所が免責を許可した場合には改めてその旨官報に掲載されます。官報掲載後2週間以内に債権者等から不服申立がなければ免責許可決定は確定し、借金がゼロとなります(なお、税金や罰金などの非免責債権は免除されませんので注意しましょう)。

詳しく見ていきましょう。

弁護士と一緒に免責審尋を行う

同時廃止事件で破産開始決定がされた後、裁判所で免責審尋が行われるのが通常です。

免責審尋期日は破産開始決定日から概ね2か月後に行われることが多く、破産者は弁護士に依頼している場合、弁護士とともに裁判官からの面接を受けます。免責審尋では、申し立て時からの変更点や免責不許可事由がないかなどを中心に事情を聞かれるケースが多いようです。

免責審尋は、基本的には免責許可を与えるための面接ですので、誠実に返答すれば心配はありません。弁護士からの返答のアドバイスをもらっておくことも有効です。

なお、免責不許可事由がないことが明らかな場合、免責審尋を行わない地方裁判所もあります。

裁判所が免責許可を決定する

免責審尋の約1週間後に免責許可、免責不許可の決定が通知されます。免責許可決定がなされると「免責許可決定書」が申立代理人弁護人宛に送付されます。免責許可決定とは、破産者が負う借金を免除するという決定のことです。

この決定書は、法律上借金がなくなったということを証明する重要な書類です。弁護士から受け取った後は、大切に保存してください。

免責許可決定が出ると、再び官報にその旨が記載されます。官報掲載後2週間が債権者の不服申し立て期間です。

借金がゼロとなり手続が終了する

免責許可決定した後、官報掲載から2週間以内に債権者から異議が出なければ免責許可決定が確定します。免責許可確定により借金がゼロとなり手続きは終了です(税金や罰金は免除されませんので注意しましょう)。

今後は借金に頼らない生活を維持して、人生の再スタートを切りましょう。

免責許可決定が確定すると、確定から約1か月後に裁判所に「免責許可決定確定証明書」の発行を請求できます。「免責許可決定確定証明書」は裁判所の窓口か郵送で発行します。

「免責許可決定確定証明書」は、破産したことを証明する必要があるときに有効です。その後紛失してしまった場合も、自己破産を申立てした裁判所で再発行の申請をすることは可能です。

※破産した情報が信用情報機関に登録されている期間(5~7年間)はクレジットカードを作ったりローンを組んだりできませんが、期間経過後はできるようになります。

少額管財事件になった場合の流れを詳しく解説

自己破産申立て後、少額管財事件の取り扱いとなったら、破産管財人が破産者の財産を調査します。

裁判所によって選任された破産管財人が申立人(破産者)の資産を調査後、すべて換価処分(現金化)を行い債権者に平等に分配します。ギャンブルで借金が増えたり、財産目録に疑念があったりなどの免責不許可事由がないかの調査も破産管財人の業務です。

破産者の財産が一定額以下で免責不許可事由が見当たらず、弁護士が代理人に就いていて調査がすでに行われている場合は、通常管財より簡便な少額管財事件として扱われます。(少額管財を扱わない地方裁判所もあるので、確認が必要です。)

少額管財事件の場合の自己破産開始決定から手続き終了までの手続きの流れは以下のとおりです。

  • 弁護士と一緒に管財人面接を行う
  • 破産管財人が債権者集会で報告を行う
  • 裁判所が免責許可を決定する
  • 借金がゼロとなり手続きが終了する

このような流れで少額管財事件の破産手続きが進みますので一通りの流れは把握しておきましょう。

次に、詳しく見ていきます。

弁護士と一緒に管財人面接を行う

破産手続開始決定が出され、少額管財事件となった場合、1~2週間後に裁判所が選任した破産管財人の事務所などで管財人面接が行われます。弁護人と一緒に依頼者も同行しなければなりません。

管財人面接とは、管財人が債務者の財産や債務の状況を詳細に把握し、公平な債権者への配分を確保するためのものです。債務の内容、理由、免責不許可事由の有無などについて聴取されますが、正直に答えることが重要です。

虚偽の回答をすると、免責許可に支障が出る場合があるので注意しましょう。

破産管財人が債権者集会で報告を行う

裁判所への破産の申立てから約3か月後に裁判所で債権者集会が開かれます。債権者集会には弁護士と一緒に破産申立人の出席が必要です。

出席者は、裁判官、破産管財人、破産申立人、代理弁護人、各債権者です。個人破産の場合は、債権者がほとんど出席しないケースがほとんどのようです。

債権者集会では、破産管財人が債権者に債務者の財産・収支状況を報告し、免責についての意見を求めます。債務免除に異議のある債権者がいなければ、短時間で終了します。

裁判所が免責許可を決定する

破産申立書や破産管財人の調査で、免責不許可となる事由がないと判断されると、裁判所が免責許可を決定します。

債権者集会が開催されてから約1週間後、裁判所から免許許可決定が通知されます。

免責許可決定がなされると「免責許可決定書」が申立代理弁護人宛に送付されます。免責許可決定とは、破産者が負う借金を免除するという決定のことです。

この決定書は、法律上借金がなくなったということを証明する重要な書類です。弁護士から受け取った後は、大切に保存してください。

免責許可決定が出ると、再び官報にその旨が掲載されます。官報掲載後2週間が債権者の不服申し立て期間です。

借金がゼロとなり手続が終了する

免責許可決定した後、官報掲載から2週間以内に債権者から異議が出なければ免責許可決定が確定します。免責許可確定により借金がゼロとなり手続きは終了です(上記の通り税金や罰金などの債務は免除されませんので注意しましょう)。

今後は借金に頼らない生活を維持して、人生の再スタートを切りましょう。

※破産した情報が信用情報機関に登録されている期間(5~7年間)はクレジットカードを作ったりローンを組んだりできませんが、期間経過後はできるようになります。

監修者

梅澤 康二(うめざわ こうじ)先生

第二東京弁護士会(2008年登録)

弁護士法人プラム綜合法律事務所

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自己破産の流れや期間をケースごとに徹底解説

自己破産の流れや期間をケースごとに徹底解説

自己破産は、借金の返済が困難になった際に利用できる法的手続きであり、債務者の経済的再出発を支援するものです。

自己破産を考えているものの、手続きがどういう流れになるのか、どのくらいの期間がかかるか疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

実際には、自己破産の申し立てから免責決定が確定するまで綿密な準備が必要となる場合もあり、このような準備の開始から数ヶ月から1年以上かかることもあるのです。

この記事では、自己破産の基本的な手続きの流れとその期間についてケースごとに詳しく解説します。自己破産を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

自己破産を弁護士に相談してから、最終的に手続きが終了して債務がゼロになるまでの流れは、以下の図のとおりです。

自己破産開始までの流れを詳しく解説

自己破産開始とは、破産者について破産手続きを開始する旨を裁判所が決定することです。

弁護士に相談してから自己破産開始決定まで、早くても2、3ヶ月、債権者が多かったり財務調査に時間がかかったりする場合は1年以上かかることもあります。

自己破産の開始と同時に手続が終了し、その後免責を許可されるという場合もありますが(後述する同時廃止のケース)、所有財産の換価等の処理が必要となる場合には管財人が選任されます。この場合、破産者が持っている一定の財産について、その管理と処分をする権利が裁判所から選任された破産管財人に移転します。

なお、破産の債権者は破産手続きによらない権利行使が法律上禁止されますので、破産開始決定を受けた場合には債権者から破産者に対する直接の連絡はされなくなるのが通常です(実際には弁護士が介入したタイミングで破産債権者からの連絡はストップすることがほとんどでしょう)。

自己破産開始までの流れは以下のとおりです。

  • 早めに弁護士に相談する
  • 弁護士が金利の引き直し計算をして債務額を確定(過払い金がある場合)
  • 弁護士と一緒に申立書類を準備する
  • 弁護士が裁判所に自己破産の申立てをする
  • 裁判所が申立て書類の審査をする
  • 裁判所が破産手続きの審査の決定

スムーズに手続きを進めるために、依頼者も手続きのプロセスを把握しておく必要があります。

【破産管財人とは】
破産法の破産手続きにおいて破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利を有する者をいう(破産法第2条第12項)。
破産手続きの開始決定と同時に裁判所が選任。通常は事件関係者と利害関係のない弁護士が選ばれる。破産者の債務確定、破産者の資産の管理や処分、破産原因調査、債権者集会での報告、各債権者への配当手続きが主な業務内容。
参考:破産法第15条

同時廃止と少額管財どちらに該当する?期間は?

自己破産の手続には、配当に回す財産がない場合の「同時廃止」と破産管財人が選定される「管財事件」とがあります。

同時廃止とは、配当に回せる財産が存在せず、かつ、債務が膨らんだ経緯に大きな問題がない場合に認められる自己破産手続きのことです。

同時廃止なら、破産管財人が選任されず、破産手続き開始と同時に手続が終了します(破産法216条第1項)。その後、所定の手続を経て免責が許可されるという流れです。個人の破産申請の場合、同時廃止となるケースが7割近くを占めます。

さらに、管財事件には小規模で簡易な「少額管財」と大規模で複雑な「通常管財」の2つがあります。個人の破産手続における管財事件はほとんどが少額管財です。

ただし、少額管財は申立人の財産が一定額以下で免責不許可事由がないこと、弁護士が代理人となっていることが要件です。また、少額管財を採用していない裁判所もあるので確認が必要です。

同時廃止と少額管財では、申立後の手続の流れや手続終了までにかかる期間が異なります。
裁判所に申立てをしてから免責許可の確定までの期間は、それぞれ以下のとおりです。

手続の種類自己破産の申立てをしてから免責許可の確定までの期間
同時廃止事件約2ヶ月~3ヶ月前後
少額管財事件約3ヶ月~半年前後

免責許可が出ると官報にその旨掲載されます。官報掲載から2週間以内に債権者からの不服申立がなければ、免責許可決定が確定します。

なお、同時廃止・少額管財のどちらの手続になるかは、裁判所の判断で決まります。

参考:司法統計令和2年第108表 破産既済事件数

同時廃止事件は約2~3ヶ月かかる

同時廃止」は、破産手続きの開始と同時に破産手続きを終了するものです。

債務者の財産額が20万円未満(現金資産のみの場合は33万円未満)で、破産管財人を選任する必要がない場合に適用されます。この場合、最も手続き期間が短く裁判所への申し立てから免責許可の確定まで通常2ヶ月から3ヶ月で完了します。

債務者が裁判所に自己破産を申立てた後、裁判所が債務者の財産や負債状況を確認し、問題がなければ破産手続開始決定を出して手続は終了します。手続終了後に所定の手続を経て免責許可の決定が下され、一定期間の経過によりこれが確定します。

ただし、ギャンブルによる浪費や財産隠しなどの「免責不許可事由」があるときは、管財事件に切り替えられるケースもあります

最終的に免責を許可するかは裁判所の判断に任されているのです。たとえば、ギャンブルによる借金でも、正直に申告し現在は止めて真面目に生活を営んでいれば、裁判所の判断で免責が許可される可能性は十分あります。

【免責不許可事由とは】
破産手続によっても債務を免除できない原因として法律に定められた事由です。たとえば以下の事例が当たります。

・浪費、ギャンブルによる借金である
・債権者の一部に不公平な弁済をしている
・破産者の財産を不当に毀損して価値を減少させている
・破産者の財産を隠匿したり、偽るなどしている
・過去7年以内に免責決定を受けている

参考:破産法第252条

少額管財事件は約3ヶ月~半年前後かかる

「少額管財」の場合、裁判所に申し立てをしてから免責許可が確定するまで約3ヶ月~半年前後かかります。

少額管財事件では、裁判所が管財人を選任し管財人が債務者の財産を調査・管理しますが、通常の管財手続きよりも簡略化されているため、手続きが相対的にスピーディーです。

具体的には、破産者が裁判所に自己破産を申立てた後に管財人が財産の調査を行い、問題がなければ裁判所が破産手続開始決定を出します。その後、債権者集会を経て免責許可の決定が下されたら手続きが終了します。

少額管財事件は、財産がある場合でも通常管財より短期間で手続きを終えられるのが特徴です。

早めに弁護士に相談する

破産手続きは、用意する書類も多く、申し立てまでの手続きに時間がかかります。迅速に進めるためには、まず早めに弁護士に相談することが重要です。

弁護士は債務者の財産状況や負債内容を詳しく分析し、同時廃止か少額管財かの方針を決定します。

方針が決まったら、弁護士と委任契約を結びます。委任契約を結んだ時点で、弁護士から債権者に受任通知がFAXや郵送の形で送られます。

債権者への受任通知が到達した時点で、債権者から依頼者への催促、取り立てはなくなります

弁護士に早めに相談することで、方針を迅速に決定することができ、必要な書類の準備がスムーズに行われます。迷っているより早期の相談をすることで、事態の解決につなげることができるでしょう。

【自己破産手続きにおける受任通知とは】

弁護士が依頼者の代理人に就任したことを債権者に知らせ、以後の連絡は弁護士になることを通知する文書のことです。

依頼者への直接連絡や取り立てをストップするよう要求し、返済停止の旨及び取引履歴の開示依頼の請求も同時に行います。受任通知が届いた時点で、貸金業者は直接の取り立てをすることができません。

参考:貸金業法第21条第1項

初回無料相談を活用して相性をチェック

自己破産を検討する際、初回無料相談を活用することは非常に有益です。法律事務所や司法書士事務所では、初回無料で相談を受け付けているところが多く、これを活用することで、専門家との相性や信頼性を確認できます

自己破産の手続きは複雑で、スムーズに手続きを進めるためには専門的な知識と経験が必要です。

借金問題で専門家に相談することに引け目を感じたり、自己破産にかかる費用が心配になる方もいるでしょう。

初回無料相談を活用して、自分に合った専門家を見つけ、納得のいく手続きを進めることが大切です。

弁護士が金利の引き直し計算をして債務額を確定

消費者金融やカードローンなどの借金は、過去、利息制限法に定められた上限金利を超えていることがほとんどであり、古くから借入と返済を繰り返してきた場合、利息を払いすぎているケースがあります。これを「過払い金」といいます。

過払い金が疑われるケースでは、弁護士が貸金業者から取引履歴を取り寄せ、これに基づいて利息制限法に基づく正当な金利での引き直し計算を行うことで過払い金の存在を確認することになります。

過払い金と破産手続は全く関係がありませんが、もし過払い金があれば債務の圧縮に繋がります。

弁護士と一緒に申立書類を準備する

自己破産を申請する際には、膨大な量の書類を準備する必要がありますが、弁護士と一緒に準備することでスムーズに手続きが進みます。

弁護士は、申立てに必要な書類のリストを提示し、収集方法や記載内容について具体的に指示します。

また、弁護士が法的要件や書類の不備を事前にチェックすることにより、提出後のトラブルを防ぎます。

裁判所に書類を提出後、提出した書類と客観的な資料との間にズレがあると、裁判所の指摘を受け、不利な判断をされかねません。弁護士はそうならないように依頼者と入念に打ち合わせをするので、依頼者も正直に実情を述べることが重要です。

必要な申立書類の主な一覧

自己破産手続きの申立に必要な書類は以下のとおりです。

必要書類概要
破産・免責申立書破産・免責手続を利用したい旨を書いた書類
債権者一覧表債権者の名前、住所、債務の内容、残額などを書いた一覧表
住民票本籍が省略されていないもの
財産目録預金通帳写し、車、保険、退職金など
収入状況が分かる書面源泉徴収票または課税(非課税)証明書
その他裁判所から指示される書類事案によって、求められる書類
申立費用申立手数料1,500円(収入印紙)、裁判所が定める額の手続き費用や郵便切手

※各種書類は,マイナンバーの記載がないものを提出してください。
※添付書類や手続き費用の額などについては、事案によって異なります。

申立先は原則として債務者の住所地を管轄する地方裁判所です。

参考:最高裁判所/破産手続きQ&A

弁護士が裁判所へ申立てをする

弁護士は、依頼者が集めた書類や面談をもとに破産申立書類を作成します。

作成後、必要書類とともに依頼者の住所地を管轄する地方裁判所又はその支部に申し立て書類を提出します。

※東京地方裁判所では、弁護士が代理人となっている場合に限り、破産申立て当日に弁護士が裁判官と面接する即日面接が採用されています。即日面接とは、その場で同時廃止にするか管財事件にするか決定できる取り扱いです。

自己破産手続きの際、官報掲載料、破産管財人費用として予納金を支払う必要があります。

  • 管財事案 20万円~(事案の内容によって増減します。)
  • 同時廃止事案 約12,000円~

※予納金の支払時期、金額は各地方裁判所により多少異なります。

参考:裁判所/よくある質問

裁判所が申立書類の審査をする

裁判所は、申立て書類の内容や提出された証拠に基づいて、手続開始の要件が充足されているか、同時廃止と管財事件のいずれにすべきか等を判断します。また、提出した書類や資料に不備があれば追完を求められることもあります。

裁判所が破産手続き開始の決定

裁判所は破産事由があると認める場合、破産手続きの開始を決定します。

破産手続の開始が決定されると破産者の名前と住所が官報に掲載されます。官報に掲載されることで誰でも閲覧可能ですが、実際に官報をチェックしている人は金融機関関係者など一部の方ですので、官報から直接身近な人に知られる恐れはあまりないでしょう。

なお、破産者が一定の財産を持っていないことが明らかで、かつ免責不許可事由もないような場合は、同時廃止事件として破産手続き開始と同時に破産手続きが終了します。他方、破産者が一定の財産を持っていたり免責不許可事由があったりすると破産管財人が調査する管財事件になります。

【官報とは】
日刊の政府の機関誌というべきもので、独立行政法人国立印刷局が印刷・発行している。官報には、各省庁の公告、裁判所の公告、地方公共団体の公告、会社の公告なども掲載。
参考:参議院法制局

同時廃止事件となった場合の流れを詳しく解説

同時廃止事件となった場合は、裁判所の破産手続き開始の決定と同時に破産手続きが終了します。

破産手続きの廃止が決定すると、官報に同時廃止となったことも掲載されます。この際に免責についての意見申述の期間が設けられてこれも併せて掲載されます。

その後、裁判所による免責審尋(免責してよいかについて裁判所が破産者に事実確認等を行う手続)が実施され、裁判所が免責を許可した場合には改めてその旨官報に掲載されます。官報掲載後2週間以内に債権者等から不服申立がなければ免責許可決定は確定し、借金がゼロとなります(なお、税金や罰金などの非免責債権は免除されませんので注意しましょう)。

詳しく見ていきましょう。

弁護士と一緒に免責審尋を行う

同時廃止事件で破産開始決定がされた後、裁判所で免責審尋が行われるのが通常です。

免責審尋期日は破産開始決定日から概ね2か月後に行われることが多く、破産者は弁護士に依頼している場合、弁護士とともに裁判官からの面接を受けます。免責審尋では、申し立て時からの変更点や免責不許可事由がないかなどを中心に事情を聞かれるケースが多いようです。

免責審尋は、基本的には免責許可を与えるための面接ですので、誠実に返答すれば心配はありません。弁護士からの返答のアドバイスをもらっておくことも有効です。

なお、免責不許可事由がないことが明らかな場合、免責審尋を行わない地方裁判所もあります。

裁判所が免責許可を決定する

免責審尋の約1週間後に免責許可、免責不許可の決定が通知されます。免責許可決定がなされると「免責許可決定書」が申立代理人弁護人宛に送付されます。免責許可決定とは、破産者が負う借金を免除するという決定のことです。

この決定書は、法律上借金がなくなったということを証明する重要な書類です。弁護士から受け取った後は、大切に保存してください。

免責許可決定が出ると、再び官報にその旨が記載されます。官報掲載後2週間が債権者の不服申し立て期間です。

借金がゼロとなり手続が終了する

免責許可決定した後、官報掲載から2週間以内に債権者から異議が出なければ免責許可決定が確定します。免責許可確定により借金がゼロとなり手続きは終了です(税金や罰金は免除されませんので注意しましょう)。

今後は借金に頼らない生活を維持して、人生の再スタートを切りましょう。

免責許可決定が確定すると、確定から約1か月後に裁判所に「免責許可決定確定証明書」の発行を請求できます。「免責許可決定確定証明書」は裁判所の窓口か郵送で発行します。

「免責許可決定確定証明書」は、破産したことを証明する必要があるときに有効です。その後紛失してしまった場合も、自己破産を申立てした裁判所で再発行の申請をすることは可能です。

※破産した情報が信用情報機関に登録されている期間(5~7年間)はクレジットカードを作ったりローンを組んだりできませんが、期間経過後はできるようになります。

少額管財事件になった場合の流れを詳しく解説

自己破産申立て後、少額管財事件の取り扱いとなったら、破産管財人が破産者の財産を調査します。

裁判所によって選任された破産管財人が申立人(破産者)の資産を調査後、すべて換価処分(現金化)を行い債権者に平等に分配します。ギャンブルで借金が増えたり、財産目録に疑念があったりなどの免責不許可事由がないかの調査も破産管財人の業務です。

破産者の財産が一定額以下で免責不許可事由が見当たらず、弁護士が代理人に就いていて調査がすでに行われている場合は、通常管財より簡便な少額管財事件として扱われます。(少額管財を扱わない地方裁判所もあるので、確認が必要です。)

少額管財事件の場合の自己破産開始決定から手続き終了までの手続きの流れは以下のとおりです。

  • 弁護士と一緒に管財人面接を行う
  • 破産管財人が債権者集会で報告を行う
  • 裁判所が免責許可を決定する
  • 借金がゼロとなり手続きが終了する

このような流れで少額管財事件の破産手続きが進みますので一通りの流れは把握しておきましょう。

次に、詳しく見ていきます。

弁護士と一緒に管財人面接を行う

破産手続開始決定が出され、少額管財事件となった場合、1~2週間後に裁判所が選任した破産管財人の事務所などで管財人面接が行われます。弁護人と一緒に依頼者も同行しなければなりません。

管財人面接とは、管財人が債務者の財産や債務の状況を詳細に把握し、公平な債権者への配分を確保するためのものです。債務の内容、理由、免責不許可事由の有無などについて聴取されますが、正直に答えることが重要です。

虚偽の回答をすると、免責許可に支障が出る場合があるので注意しましょう。

破産管財人が債権者集会で報告を行う

裁判所への破産の申立てから約3か月後に裁判所で債権者集会が開かれます。債権者集会には弁護士と一緒に破産申立人の出席が必要です。

出席者は、裁判官、破産管財人、破産申立人、代理弁護人、各債権者です。個人破産の場合は、債権者がほとんど出席しないケースがほとんどのようです。

債権者集会では、破産管財人が債権者に債務者の財産・収支状況を報告し、免責についての意見を求めます。債務免除に異議のある債権者がいなければ、短時間で終了します。

裁判所が免責許可を決定する

破産申立書や破産管財人の調査で、免責不許可となる事由がないと判断されると、裁判所が免責許可を決定します。

債権者集会が開催されてから約1週間後、裁判所から免許許可決定が通知されます。

免責許可決定がなされると「免責許可決定書」が申立代理弁護人宛に送付されます。免責許可決定とは、破産者が負う借金を免除するという決定のことです。

この決定書は、法律上借金がなくなったということを証明する重要な書類です。弁護士から受け取った後は、大切に保存してください。

免責許可決定が出ると、再び官報にその旨が掲載されます。官報掲載後2週間が債権者の不服申し立て期間です。

借金がゼロとなり手続が終了する

免責許可決定した後、官報掲載から2週間以内に債権者から異議が出なければ免責許可決定が確定します。免責許可確定により借金がゼロとなり手続きは終了です(上記の通り税金や罰金などの債務は免除されませんので注意しましょう)。

今後は借金に頼らない生活を維持して、人生の再スタートを切りましょう。

※破産した情報が信用情報機関に登録されている期間(5~7年間)はクレジットカードを作ったりローンを組んだりできませんが、期間経過後はできるようになります。

監修者

梅澤 康二(うめざわ こうじ)先生

第二東京弁護士会(2008年登録)

弁護士法人プラム綜合法律事務所

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